RIMIX事務局です。
5月29日(土)に開催された【RIMIXファイナンス】「今、日本のスタートアップで何が起こっているのか?」 スタートアップ・ベンチャーキャピタルの魅力 Presented by JAFCO Day2について報告します。
RIMIXファイナンスでは、ジャフコグループ㈱(JAFCO)と連携し、全2回のレクチャー・ワークショップを行いました。5月29日に実施された第2回目の企画では、学生がチームごとに投資検討を行いプレゼンを行う実践型ワークショップを実施しました。
レクチャー
はじめに、JAFCO株式会社西中氏からワークショップに関するレクチャーをしていただきました。
まず、今回のワークショップで必要とされる力は「変化抽出力」だとおっしゃっていました。VCでは、課題を与えられて正解を見つける作業ではなく、自身で投資企業を検討し見つける力が必要とされます。そのため、
- 世の中に起こっている無数の変化を察知する
- 変化を関連付け、自分自身の正解を描く
- 自分の意志を込めて投資を実行し、経営者と共に正解を作る
ことが重要だそうです。
次に、投資判断のポイントについてお話ししていただきました。簡単に言うと①市場②事業③経営チームの3点を中心に投資企業を検討するそうです。ただ、市場は現地点での規模ではなく将来性を予測して考える点が難しいそうです。
では具体的にどのように市場予測を行うかというと、
- 「技術の発展」により現状の課題が解決できる
- 「環境・ライフスタイルの変化」により生まれる新たな課題を解決できる
という2つの市場成長のフレームワークの循環を考えることで、ある程度の予測が可能になるとのことです。
例えば、人口肉市場では①「技術の発展」により味という問題を解決でき、消費者のニーズに応えることができるようになる②「ライフスタイルの変化によるタンパク質不足」により人口肉に対するニーズが高まるという需要と供給の相互作用を考えることで将来の市場予測を立てていくことが可能になるそうです。
ワークショップ
今回のワークショップでは3人1チームで投資検討体験を実施しました。JAFCO株式会社が実際に投資を行っている企業を掲載したポートフォリオの中から1社選定し、3つのブロックに分かれて5分間の発表を行いました。決勝では各ブロックで最も票を得た3チームがプレゼンを行い優勝チームを決定しました。
ワークショップ中はブレイクアウトルームに分かれ、約2時間チームごとに投資検討を行いました。
メンターとしてジャフコ株式会社から伊藤氏、清田氏、徳原氏、西中氏、宮地氏の5名が付いてくださり、学生はメンターの方々に自由にサポートを求めつつワークショップを進めました。
中間フィードバックでは、投資検討の際のポイントとして
- ポートフォリオの中で正解を探していないか?ヨコ比較していないか?
- 市場規模のデータはファクトとしては弱いため参考程度にする
- 10年間の変化を甘く見ない
という3点をレクチャーしていただきました。
大学の授業や課題では、正解があることを前提にデータやフレームワークを使い答えを求めることが多いため、「自身の感覚」を元に最適解を求めるというのは新鮮な経験になったかと思います。
決勝プレゼン
各ブロックで投票を行い、最も投票数が多かったチームが全体でプレゼンを行い優勝チームを決定しました。
チーム1. 小型衛星事業「株式会社Synspective ( シンスペクティブ )」
この会社は衛生事業を行っており、小型の衛星を飛ばして地盤変動などの衛星データを収集しているそうです。
まず、市場について
- 「技術の発展」により衛星の小型化が実現され低コストで運用可能になること
- 「環境・ライフスタイルの変化」ではデータによるマネジメントの浸透や、災害への意識向上など地表予測データへの関心増加
とフレームワークを用いて、ニーズは今後も増えていくだろうと予測していました。
価値提供として、天候や時間の影響を受けることなく常時3次元データを習得できることだと発表しており、競合他社との比較や10年後の市場展開に建設業を挙げるなど、短時間のワークショップの中でも様々な視点から投資企業の検討を行っている様子が伝わってきました。
チーム2. スタイリストによる新感覚ファッション「airCloset」
airClosetは普段着に特化したファッションデジタルサービスを行っており、専門のスタイリストがコーディネートした服を着ることができるサービスだそうです。
サービスの特徴として
- サブスクリプション
- シェアリングエコノミー
- Fashion Tech
の3点を挙げていました。ライフスタイルの変化を予測し、今後拡大するであろう市場をプレゼンしてくれました。
チーム3. パーソナル人工知能「オルツ」
オルツとは、AI業界でパーソナル人工知能「ai+」の開発を目標としており、デジタル世界における究極の自動化を目指している企業だそうです。
強みとして、今後加速するデジタル化に対応できることや作業の効率化によるコスト削減や汎用性の高さを述べていました。
また、オルツに投資することによって得られるメリットを提示するために、今後の軌跡を予測している点が印象的でした。オルツが完成することで、リモートワークや就職面接の自動化、ゲームなど私たちの身近な生活にも変化が訪れ、より便利な暮らしが可能になると主張していました。その後の投票では「オルツ」のチームが優勝しました。
最後に
最後に、西中氏からの総評ではクレイトン・クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』を引用しつつ、破壊的イノベーターに必要とされる5つのスキルについて説明していただきました。今回のワークショップでは特に「現状に疑問を持つ」「観察力」「質問力」「関連付け思考」の4つのスキルを包括的に使用していたそうです。
VCは答えのない最適解を求める仕事のため、今回のワークショップは難しかったのではないかとおっしゃっていましたが、ワークショップを通してVCに限らず新たな価値を生み出す過程に触れることができたのではないかとおっしゃっていました。
今回のワークショップでは、2日間のインプット・ワークショップを行いスタートアップ・ベンチャーキャピタルについて学ぶことができました。特にワークショップでは、実際の投資検討体験のフローに沿って投資企業を検討するなどとても貴重な体験になったかと思います。
今回のワークショップを通してスタートアップやVCに対する興味関心が深まったのではないでしょうか?
RIMIXでは今後も総長PITCH CHALLENGE 2021をはじめとする様々なプログラムを実施いたしますので、ぜひご参加ください!