立命館起業・事業化推進室 RIMIXです。
立命館高等学校では、RIMIXと共同で、社会課題解決のためのチェンジメーカーを育成する「Liberal Artsゼミ」を開講しています。
1年間を通した学びから、生徒一人ひとりが協働する大切さを学びつつ、世界を1ミリ動かす「Changemaker」としてグローバルな社会課題解決を担う、イノベーション・創発性人材の育成を目指しています。
今回は、1月9日に集大成として実施した校内ピッチ「Changemaker Award」の模様をレポートでお伝えします。
「Liberal Artsゼミ」とは

「Liberal Artsゼミ」は今年度からスタートした立命館高校の3年生を対象とした高大連携科目で、14名の生徒がメンバーとして受講しました。リベラルアーツの学びとアントレプレナーシップを融合させ、生徒たちが自ら課題を発見し、仮説を立て、調査や対話を通じて問いを深めていくサイクルを体験するプログラムです。
春の前期には立命館大学グローバル教養学部(GLA)と連携し、具体的なグローバルな社会課題を取り上げながら多角的なアプローチで物事を考え、生きるための手段を学び、リベラルアーツの基礎を身につけました。
後期には、グローバルな社会課題解決を取り入れた探究教育を行うタイガーモブ株式会社や、国際NGOである一般社団法人Earth Companyと連携したPBLプログラムを実施。講義やメンタリングを通じて、グループごとに実際の社会課題に対して挑戦し、解決を目指せるソーシャルビジネスのアイデアを創出していきます。
プログラムを通して、「自分のあり方、自分が楽しいと思えること」を見つけ、自分自身と向き合いながら自分の想いをアクションとして実践することで、自分の変容を感じ、大学や次のキャリアにつなげていくことを目指しています。
プロジェクトのアクションと”自身の変容”をプレゼン
今回実施した「Changemaker Award」では、1年間のプログラムの最終発表会として、それぞれのチームプロジェクトでのアクションと、自分自身がプロジェクトを経てどう変わったか、自分の言葉で各チームがプレゼンしました。
当日は、立命館高等学校の久保田一暁副校長、グローバル教養学部(GLA)副学部長の志村真弓准教授、Earth Companyの藤本亜子さん、タイガーモブ株式会社COOの中村寛大さんなどがオブザーバーとして参加し、生徒らの発表にフィードバックしました。
生徒達は5チームに分かれ、1年間の学びの成果を発表しました。


チーム「スシロー」は、”スシローファンを増やしたい”という目標を掲げ、未利用魚を活用した新メニューの試食会や、客層に合わせた店舗の内装変更など、具体的なアクションと斬新なアイデアを発表しました。チーム「たけのこ」は、地元である長岡京のタケノコを全国に広めたいという思いから、試行錯誤しながらもタケノコチップスを開発。チーム「傘袋」は、傘袋の廃棄をなくすという目的のもと、廃棄されるビニール傘の骨組みを利用した傘袋の代替品を考案。チーム「子ども食堂」は、貧困問題の解決に向けて、地域の子ども食堂でボランティア活動を行いながら、理想と現実のギャップを学んだと発表。チーム「のあかれん」は、海外にルーツを持つ子どもたちの架け橋になりたいという願いから、学習キットの開発に取り組んだと発表しました。


また生徒たちは、プロジェクトを通して「現場でヒントを得ながら、新しいものを生み出すことの大切さを学んだ」「やってみなければわからないという精神で、積極的に行動した結果、プロジェクトの進め方や、目標設定の大切さを学んだ」「一つの視点に縛られず、根本から問い直すことで、視野が広がった」「実際に現場に行くことで、新たな課題を発見し、多角的な視点を持つことができる」「楽しいことを原動力に、壁を乗り越えながら、自分のやりたいことを深めたい」 など、学びと自己変容を発表しました。


どのチームも、社会課題の解決に向けて積極的に行動し、その中で自分自身と向き合い、大きく成長を遂げたことを自分の言葉で表現。発表後には、オブザーバーの先生や協力企業の方から、各チームの発表に対して、プロジェクトへのフィードバックや、生徒たちの”気づき”や”行動”へ、温かいコメントが送られました。
ネクストアクションにつながるたくさんの”気付き”

プログラムに参画したタイガーモブ株式会社 COO 中村寛大さんは「トライの大切さがとても実感できたプログラムだったと思います。今回のプロジェクトの振り返りを充実させて、次の機会に繋げていってほしいです」とコメント。一般社団法人Earth Companyの藤本亜子さんは「1つの視点に縛られずに根本から疑って視点を広げている、とても良い発表だったと思います。”そもそも”を問い直すマインドチェンジが、世界を変える一歩になっていってほしいです」と、生徒たちのさらなる飛躍に期待を寄せました。


立命館高等学校の久保田一暁副校長は「今回の学びは、知らない自分に気がつく『メタ認知』になっていると思います。これからの大学での学びが本当の学びだと思うので、頑張ってほしい」と話し、グローバル教養学部(GLA)副学部長の志村真弓准教授は「前期に学んだ多角的なアプローチをしっかりと活かし、社会課題へのソリューションを見つけていくプロセスがとても素晴らしかったと思います。プロジェクトを進めることの大切さ、大変さを学んでいるのが大変素晴らしいと思うので、ぜひ大学でも次のプロジェクトにつなげていってほしい」と、生徒たちの学びの成果を高く評価し、大学での学びへと繋げていくことを激励しました。
プログラムのコーディネートを行ったタイガーモブ株式会社の中川原弥晨さんは「生徒たちには、まずはやってみることの大切さ、そしてそこから行動して振り返ることの大切さを一番学んでほしいと考え実施したプログラムでした。何にでもアクセスしやすい時代だからこそ、”知っているつもり、やったことがあるつもり”になりがちな中で、発表では、実際にやってみてうまくいったこと、うまくいかなかったことを経験的に振り返ることができていて素晴らしい経験になったと思います」と話しました。

Liberal Artsゼミの立ち上げからプロジェクトを進めてきた立命館高等学校のグローバル教育部長の中西美佐教諭は「Liberal Artsゼミは、生徒たちが社会課題に挑戦し、Changemakerとして成長する貴重な機会となりました。リベラルアーツの学びとアントレプレナーシップを融合させ、生徒たちが自ら課題を発見し、仮説を立て、調査や対話を通じて問いを深めていくサイクルを体験することを目指しました。特に、後半のPBLプログラムでは、タイガーモブ株式会社やEarth Companyなどの外部組織と連携し、生徒たちは社会課題解決に繋がる具体的なアクションを起こすことができました。この経験を通して、生徒たちは、自分自身の興味や関心、強みや弱みと向き合い、自己理解を深めることができたと思います。私たちが想定していた以上に、生徒たちはいろんなことを考えて一つのことに取り組んでいたことが、今回の発表でも現れていたと思います」と、プログラムを振り返りました。
Liberal Artsゼミは、生徒たちが社会課題に挑戦し、Changemakerとして成長する貴重な機会となりました。
今後も、立命館高等学校とRIMIXは、世界を1ミリ動かす「Changemaker」として、グローバルな社会課題解決を担うイノベーション・創発性人材の育成に力を入れていきます。