【プロジェクトレポート】SWLIVE:教育の未来を語る~コロナで変わる教育改革~実施報告

こんにちは。立命館大学理工学部4回生の西野日菜です。

5月1日~6日の5日間で行われたSustainable Week LIVEの中で行った企画「教育の未来を語る ~コロナで変わる教育改革~」に関してのレポートです。
少し長めになりますが、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

また、GWに行ったSustainable Week LIVEは新たに「SWLIVE」として再始動しています。初回は5月23日(土)13:00~、それ以降は毎週木曜20時~45分間、学生が企画するSDGsトークショーを実施します!そちらもぜひご覧ください!

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企画実施前1週間のうごき

そもそも見たことないという方、ぜひアーカイブを合わせて見ていただければと思います。

まずこの企画の実施概要はこのような感じでした。

教育の未来を語る~コロナで変わる教育改革~
日時|2020年5月4日(月)17:00〜18:00
場所|YouTube Live(Sustainable Week実行委員会公式チャンネル)
出演|
横田浩一氏((株)横田アソシエイツ代表/慶應義塾大学特任教授)
濱野優貴 氏(中学校社会科教諭)
北元柊人(ACMO代表/立命館大学政策科学部2回生)
瀧野志帆(ACMO副代表/立命館大学総合心理学部1回生)

【SW LIVE】教育の未来を語る 〜コロナで変わる教育改革〜 ジャンル オンラインプロジェクト  提供  学生団体  対象  一般公開(どなたでもご参加いただけます) ...

動画冒頭にもありますが、5月4日に行ったこの企画の出演者の皆さんに出ていただけないかと依頼をしたのは4月27日、実施日のちょうど1週間前でした。

提案当初の企画名は「教育×地方創生」

”地域に貢献する教育” “地域の子どものために地域ができること”という、教育と地域の双方向性について近年流行りのアクティブラーニングを切り口に企画をしたいと考えていました。しかし本番の企画には地方創生というキーワードはあまり見られませんでしたね。

実は出演オファーをしたあとに企画内容までガラっと変えてしまったのです。
その内容を考えてくださったのは、誰でもない出演者の皆さん自身。
プロジェクトオーナーである私自身が伝えたかったこと、そして出演いただく皆さんが持っている数々の話題や課題意識を1時間という限られた枠にどのようにおさめるのが良いのか。企画本番で行われた議論に至るまでに、たくさんの「練り直し」を行いました。

最終的には「教育の未来を語る」という題に代わり、”中高生の教育格差” ”中高生、そして大学生のキャリア教育”という話を中心に、課外活動を通した教育の在り方をテーマにディスカッションする形になりました。

企画内容が変わった二つの理由

1つ目は時間が限られているなかで伝えられる内容を絞ったから。
教育も地方創生も各1つだけで数時間は優に議論できる内容です。そのコラボレーションを考える前にまず、1つ1つの課題や理想を定める必要がありました。したがって今回は教育にテーマを絞ることとしました。

2つ目は、教育にフォーカスしたときに関わる分野は必ずしも地域だけではないから。
各地の学校と、その学校が位置する地域の間の相関性があることを前提に考えていた私に、打ち合わせの際に出演者の方から言われたことが「いまのオンラインの時代に距離の遠さというものが考慮しなくて良くなる」というご意見。必ずしも通う学校や学校がある地域といった「周辺環境」に左右されない教育の在り方を考えた方が面白そうではないかと考えなおした結果、最終的にオンライン教育の可能性を考える今回の企画になりました。

Sustainable Week LIVEに続く新たな企画「SWLIVE」では、本企画で触れられなかった地方創生と教育の関係にもフォーカスして展開していきたいものですね。

「キャストが良かった」という声も

本企画のアンケートをとっているのですが、そのなかで多かった感想が「学生と先生それぞれの意見が聞けてよかった!」というもの。キャストの皆さんそれぞれの立場や考えを1時間のトークの中で活かすことができたのであれば、ありがたいことです。アンケートの詳細については後述します。

さて、どうしてこのようなゲストの方々にギリギリのなかで出演いただくことができたのか。それはSustainable Week 実行委員会のこれまでの活動が大きく関わっています。

まずは昨年の2月にSustainable Week 実行委員会とREFLE.プロジェクトが共催で実施した「ファシリテーター養成講座」。この企画の第1回講師としてお招きしたのが横田浩一さんでした。「SDGsと地方創生」というテーマで、課題解決とビジネスの両立が重要視されるソーシャルビジネスについて、多視点からお話しいただきました。

その数か月後には、横田さんをモデレーターに迎え、日経ソーシャルビジネスコンテスト学生版MeetUPを開催。この企画終了後に行った懇親会では、メンバーの悩み相談、今後の活動へのアドバイスなど、企画の枠を超えた繋がりをつくることができました。

そして、日経ソーシャルビジネスコンテストmeetUP関西を実施した約3か月後。
昨年9月から12月にかけて実施したインパクトゼミという企画の第1回で、実行委員会メンバーの友人ということで参加していただいたのが濱野優貴さん。そのときは参加者の一員としてメンバーと意見交換をして終了したのですが、メンバーそれぞれの繋がりから10月、11月と濱野さんが勤める中学校の授業とのコラボなど、様々に展開していきました。12月に行ったSustainable Week 2019ではパネルディスカッション「SDGs表現論 特別企画」でパネラーも務めていただき、中学校の授業での成果物の展示などでも協力していただきました。

このような2019年度のSustainable Week実行委員会のイベントで築いた繋がりが急ピッチで活かされたのがSustainable Week LIVEの特徴でもあると思います。「教育」というテーマで企画をするとなり、真っ先に名が挙がったのが横田さん、濱野さんの2名でした。お二方とも快く了承してくださり、企画の練り直しまでご尽力いただきました。

そしてもう一つ出演者について特筆すべきことがあります。企画内でも出てきていますが、学生代表で出演した2名、北元柊人くんと瀧野志帆さんは数か月前に「ACMO」という学生団体を立ち上げたメンバーです。ACMOはSustainable Week LIVE全体も共催しており、「教育の未来を語る」はACMOのビジョンにまさにマッチするような企画内容になっています。

このようなゲスト・学生のメンバーが揃ったからこそ今回の企画の中で充実したディスカッションを繰り広げることが出来ました。実はこの企画の打ち合わせの中で既にディスカッションを進めていたり、気付けばメンバー同士のコラボの話が進んでいたりと、話しているだけで何か新しいものが生まれるようなチームなのでは?と傍から眺めていたプロジェクトオーナーは感じました。

思い描いていた「議論」がYouTubeで

じゃあ実際にそんなメンバーが集まって、LIVEの中でどんなディスカッションをしたのか?アーカイブの動画を見ていただければ手っ取り早いのですが、少し私が「これこそ求めていたもの!」と運営しながらテンションが上がった場面やぜひ注目していただきたいポイントをご紹介します。

中高生の正課、課外活動におけるPBL教育について

まずは導入として、瀧野さんの高校時代の活動について。立命館守山高校出身の瀧野さんは先生から紹介されたコンテストへの応募をきっかけに、自身の興味関心に沿った課外活動を行ってきました。そうした活動の中で立命館大学のSustainable Week 実行委員会のメンバーと繋がり、大学進学を前にして実行委員会に所属しました。また、課外での課題解決型の活動に対して、中学校の正課の授業でPBL(Project Based Learning)を積極的に取り入れている濱野さんから、授業での実践的な取り組みを紹介していただきました。

ここでは、自分が興味ある何かに主体的に取り組むきっかけになり得るものについてディスカッションが行われました。瀧野さんの場合は先生に紹介されたコンテスト、あと元々入っていたユネスコ委員会という部活動でした。多くの中高生がそういったきっかけを持つために、正課授業の在り方も議論を握る鍵となりました。

新しい教育格差 -活動しやすい環境の格差について-

立命館守山高校では普段の授業からPBL型の教育に力をいれて進めているという話の流れで、北元くんの高校時代の話に。北元くんが通っていた大阪府内の公立高校では「いかに成績を良くして良い大学にいくか」を重視していたといいます。この高校だけに限らず、多くの進学校では受験ありきの授業をしていると思います。

大学に入ってから、国際協力団体に所属したり、そこから自身の関心を深めて団体を結成したりする中で、高校時代から挑戦しやすい環境にある人とそうでない人の差に注目するようになったといいます。

ここでは、YouTubeチャットによせられたコメントも交えて議論が行われました。
「実際には、正課の到達度でも格差があるのだから、そうした格差を解消するのが先ではないか」
「必ずしも課外活動に積極的なのが良いとも限らない」
「学習指導要領に則って授業を進められるのかどうかが重要ではないか」
こうした意見を交えながら、本当に中高生の教育に必要な要素は何か、そしていかに主体的に活動を進める「種」を学校で与えることができるか、答えのなかなか出ない問いに向き合う時間となりました。

高校生・大学生の関わりとキャリア教育

中高生が自身の興味関心を主体的な活動につなげる「種」にするために、少し先輩の大学生が関わることがお互いにとってどう影響するのか、というテーマにうつります。横田さんが慶応義塾大学で取り組む自主ゼミ「横田ゼミ」では、全国各地の高校でゼミ生が高校生のメンターとなってプログラムを実施しています。

先生が全て教える授業から、いろんな人が関わって教育をつくっていく時代になっている、大学生が中高生の教育に携わることはお互いにとって良い刺激になるのではないかという話から、そういった刺激は大学生のキャリアにも好影響を与えることを実例を交えてお話いただきました。

人生100年時代にどんな人生を送るのが正しいか、誰も分からないからこそ自身の価値観を再認識する必要があります。そのために自分が何をするのかを考えることがキャリアを考える上で大切だと、キャリア教育にも少し踏み込んだ話を展開することができました。

ウィズコロナ時代の教育

コロナで対面授業が出来なくなってから、濱野さんは中学校の授業をZOOMで実施することで関わりにくい外部の学生も気軽に参加してもらえるとお話されています。中高生と大学生が関わる教育をすすめるにあたって、移動を伴わないオンラインの活用は可能性があるといえます。一人一台タブレットが支給されるような私立高校と、授業で黒板しか使わない公立高校。そこにも教育環境の格差が生まれていると言われていますが、ここ数か月の間に公立高校でもZOOMが取り入れられたりと着実にオンライン化により環境格差が狭まっています。

急激にオンライン教育への対応が進む流れで、より外部からの刺激を入れやすい環境になっていく今を活用して、スピーディーに対応していく能力が教育現場に求められていると言えるのではないでしょうか。

視聴者のリアクション

YouTubeライブを利用した生配信と、内容を切り取ったショートダイジェスト、そしてほぼノーカットのアーカイブ動画の3点の動画・配信の分析をまとめています。

生配信のデータはこのようになっています。

配信中の最高同時視聴者数は53でした。これは、Sustainable Week 実行委員会のチャンネル登録者数(約250名)のおよそ5分の1にあたります。一般的なYouYubeチャンネルは、リアルタイムで生配信を視聴する人数はチャンネル登録者数の約10分の1が平均と言われていますが、今回このような数字になったのは「SWLIVEを見るため」に当団体のチャンネル登録をした人が多いからではないかと推測できます。しかし、それでも視聴者のチャンネル登録率は41.8%で、半分以上の人がチャンネル未登録の状態で視聴していることが分かります。

また、この配信中に再生された回数の合計は134回で視聴者維持率は33.5%でした。インプレッション(動画のサムネイルが YouTube のユーザーに表示されるたびに 1 回カウントされる指標)は401、インプレッションから視聴につながった割合を表すクリック率は17.46%です。2割弱の方が、サムネイルから動画の視聴を開始していることが分かります。

次に、後日公開したアーカイブ動画のデータです。

5月21日時点での視聴回数は201回、視聴者維持率は12.8%でした。長時間の動画ということもあり、生配信よりも維持率が大幅に低くなっていることが分かります。
インプレッションは1820、インプレッションのクリック率は5.6%です。より多くの人の目に触れていることが分かります。視聴者のチャンネル登録率は37.7%で生配信よりも低くなっています。これはインプレッションから動画に興味をもって再生した人が多くなっている証拠ではないかと推測しています。

ショートダイジェストのデータはこのようになっています。

5月21日時点での視聴回数は70回、視聴者維持率は72.4%でした。この動画はSNSなどで動画をそのまま埋め込んでいるため、そちらのデータも併せて記入しています。Facebook、Twitterも含めると合計1300回以上見られていることがわかります。また、インプレッションは1410、インプレッションのクリック率は2.9%です。視聴者のチャンネル登録率は38.6%です。

以上のデータで特に、視聴者のチャンネル登録率に着目しました。他のSustainable Week LIVEの動画の登録率を見てもチャンネル登録率が50%以上の動画はあまり存在しませんでした。これは、Sustainable Week LIVEだから見るというこれまでのSustainable Week 実行委員会を知っている方々よりも、〇〇のテーマに関心があるから見るというコンテンツ重視の視聴者が多いということが表れているデータではないかと考えられます。

次が、視聴者から回答いただいたアンケート結果をまとめたものになります。

これはSustainable Week LIVEに限らずですが、Sustainable Week 実行委員会が今まで行ってきたイベントは色んな人の興味関心を入り口として、そこから新たな気付きや思考を広げられるようなコンテンツを意識しています。Sustainable Week 本番をはじめとするオフラインのイベントでは、「体験」や「交流」という皆が親しみやすい入り口をつくることを意識していましたが、今回は初のオンラインの大きなイベントでそういった入り口をどう設定するかが難しいところでもありました。

しかし、このようなデータやアンケートを見ていると、「〇〇のテーマに関心があったから見た」という人が多いことが分かります。視聴したきっかけで「Actcoin」が一番多くなっています。Actcoinは世界初、社会貢献度を可視化するサービスで多くのソーシャルグッドなサービスやイベントが掲載されているサイトです。この60%という数字は、Actcoinからの参加者はアンケートに回答する必要があることがもちろん関係しているのですが、それだけ教育というテーマに関心をもって動画視聴まで繋がった人が多いのも事実だと考えられます。

オフラインでいう体験や交流に変わるものとして「自分の興味・関心」が広く社会課題に関心をもつための1つの入り口となり得ることが分かりました。
実際にこの動画を見た人が他の企画を見たかどうかという質問では45%の人が「はい」と回答しています。ここの数字をこれからもっと伸ばしていけるような、企画をしていけたらいいなと思います。

このような結果から、次に始まるSWLIVEでも学生ならではのオリジナリティを出しつつ、さまざまな層の方に関心を持ってもらえるようなコンテンツを意識して企画する必要があると改めて感じました。

上の図は視聴者アンケートの感想にどんなキーワードが多く含まれていたかを表すワードクラウドです。文字が大きいものほど数が多く、色分けは動詞・名詞・形容詞というような言葉の種類で分類されています。
教育やSDGsなどの外にも、「可能性」「恵まれる」「興味深い」のような単語が多く書かれています。ここからも、興味深いと言っていただけるような企画、また教育の未来をポジティブに考える「可能性」ある話が出来たのではないかと推測できました。

ウィズコロナ時代に教育を考える意味

今回の企画を通して伝えたかったことの1つが、「今は何事も変化を起こすチャンス」ということです。教育というテーマ1つとっても、今までは「みんなで机を並べて一斉に授業をする」「先生が前に立って教える」という当たり前に思えていたことが当たり前ではない時代に突入しています。だからこそ、アフターコロナでは「もとに戻す」のではなく「もとよりも良くする」ことを考えて変革を起こすことができるチャンスであると思います。

コロナは改めて私たち人類に出来ることとやるべきことを考えなおすきっかけを与えてくれました。PBL教育をやるべきでないという意見をもつ教育従事者も多く存在しますし、もちろんその意見も必要です。しかし、将来どうなるか分からない若者が自分の力で生きていくために、PBL的な学びの必要性が改めて見えてくるかもしれませんし、いまだからこそ本来こうあるべき教育の姿も見えてくるのではないでしょうか。

コロナで人と対面で会うのが困難になった反面、オンライン上で遠くにいる人も大学の友達も平等に会いやすくなりました。ZOOMという単語が一般的になり、授業でも取り入れられるようになった今、ただオンラインを使うのではなくオンラインを使って今まで関わりが少なかった人とのネットワークを見直すきっかけにしてもいいのではないかと思います。

教育というものは、数十年後の将来を担う人材を育てるという、全人類に関係あるテーマだからこそ皆が関わり、本当に良い教育とは何かを模索し続けていくことが重要であると改めて感じることができた企画でした。

SWLIVEとして続いていく

そして、Sustainable Week LIVEは「SWLIVE」として再始動しています!
学生ならではの視点で発案したSDGsトークショーを、毎回異なるテーマでゲストを招いて実施します。

初回は5月23日(土)13:00~
それ以降は毎週木曜20時~45分間、学生が企画するSDGsトークショーを実施します!
28日(木)はマイナビとコラボで企画を実施します!

ぜひ継続してご覧ください!

さて、ここまで読んでいただいた方おられたら、お疲れ様ですと言いたいですね。
自分でもこんな長くなるつもりはなかったのですが…書きたいことを書いていたらいつのまにか1万字に迫る文字数になっていました。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
引き続きSWLIVEでの企画やその他プロジェクトにも注目していただきたいです!