こんにちは!立命館大学経営学部3回生のteamRIMIXライター・山口祐吾です。
今回はカナダの新型コロナウイルスの状況についてお伝えします。その中でもバンクーバーの状況のついて詳しく取り上げます。
バンクーバーは立命館大学の代表的な留学プログラムで訪れるUBC(ブリティッシュコロンビア大学)があり、立命館大学と深いつながりがある場所です。
UBCへの留学を考えている人や、すでに留学に行った人に少しでも今の状況を分かりやすく伝えるべく、記事を作成しました。
もちろんUBCに関わりのない人にも読んでいただきたいです!
バンクーバーについて取り上げるならUBCに留学してたんでしょ?と思われるかもしれませんが、僕は留学はしていません!(笑)ただ、カナダには強い思い入れがあります。
なぜならば、中3の春に2週間バンクーバーでホームステイをしていたからです。
そしてホストファミリーに会いに、今年の2月にもバンクーバーを訪れました。(UBCの友達に会いに行くという目的もありましたが(笑))
自分がカナダに行った時には、新型コロナウイルスはアジアを中心に拡大していたので、カナダは無関係といった様子でした。
しかし、今ではカナダでも多くの感染者が出ています。今回はカナダのコロナウイルスの状況の変化をホストファミリーへのインタビューなども交えつつ、紹介していきます。
感染状況
5月25日の時点でカナダでの新型コロナウイルス感染者数は85,711人、死者は6,545人です。
その中でも感染者は東部に集中しており、ケベック州の感染者が47,984人、死者4,069人、オンタリオ州が感染者25,904人、死者2,102人と、この2州がカナダ国内の感染者の大半を占めていることが分かります。
ではバンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州はどうかというと、感染者は2,530人、死者161人とこの2州と比べると少ない被害でおさまっています。
3月16日にカナダとアメリカの国境の閉鎖が行われたのですが、カナダ東部は多くの感染者の発生したアメリカのニューヨークと近いために、感染者が増加したのではないかと考えられます。
次はカナダ国内でいつから感染者が発生し、感染者の数はどのように推移してきたのかを見ていきます。
上の表を見ると3月中旬から感染者が急激に増え、4月に入ったところで感染者は1000人を超え、その後5月に入っても勢いが落ちることなく、どんどん感染者が増加していることが分かります。
5月に入ってから増加は収まりつつありますが、今後も引き続き注意が必要な状況が続くと思われます。
感染防止対策
ここではバンクーバー市民に要請されている大きく分けて3つのコロナ対策をまとめてみました。
- 不要不急の外出は控え、一人か、家の周りの人と、または愛する人とともに自宅に居ること
- 外出時には他人と2mの距離をあけること。それが守らなければ、州からペナルティや罰金が課せられる可能性がある
- 感染拡大を防ぐため、3月20日に緊急事態宣言を宣言
そして緊急事態発令とともに、以下のように市民の活動にも大きな制限がかかりました。
- バーやパブ、ナイトクラブの営業停止。また飲食店は持ち帰りかデリバリーに限定する
- 理髪店、ネイルサロン、マッサージ店といったサービス業の営業停止
- 50人以上が集まるイベントの禁止
- 屋外での一人、もしくは家族との運動は可能。その際はソーシャルディスタンスのを徹底し、思いやりを持ってスペースを利用する。
これらを見ると食料品店に行くことや、散歩なども制限内ではできることが分かります。
いわゆるロックダウンではなく、日本の緊急事態宣言時の状況と似通っています。
しかし、日本とは異なる点があります。それはペナルティの存在です。
バンクーバー市では、指示に従わない店舗には営業認可の取り消しや最大5万ドルの罰金が課せられます。
そして市民もソーシャルディスタンスが保たれているか市の職員が監視されており、指示に従わない人は刑罰の対象となります。これらからペナルティが伴った厳しい規定であることが分かります。
町の様子
緊急事態宣言が出されてから、2か月弱が経過した5月現在のカナダの様子は一体どうなっているのでしょうか?制限の緩和は進んでいるのでしょうか?
バンクーバー市のあるブリティッシュコロンビア州(以下BC州)はBC’s Restart Planというものを発表し、3月20日の緊急事態宣言発令以降から日常に戻るまでを4つの段階に分けて行動制限の指針を示しました。
第1段階は緊急事態発令後、第2段階は5月中旬から、第3段階は6月から9月、第4段階はワクチン開発後です。
5月末の現在は第2段階に該当します。現在解除されている規制は以下の通りです。
- 医療関係(歯医者、カウンセリング、整骨院)
- 理髪店、美容院、各種サービス業
- レストラン、カフェ、パブ(ソーシャルディスタンスが取れる形で)
- 博物館、美術館、図書館
- オフィス
- レクリエーション、スポーツ施設
- 公園、ビーチ
- チャイルドケア施設
これらを見ると、多くの施設が再開し始めたように感じます。
ただ、本当に多くの施設や店舗が再開しているのかこれだけでは少しわかりにくいので、バンクーバーに馴染みのあるスターバックスと、スタンレーパークをピックアップして、実際の状況を見てみました。
スターバックス
世界最大のコーヒーチェーン・スターバックスコーヒーの創業地、アメリカ・シアトルと国境を接するバンクーバーの中心には50店舗ものスターバックスがあります。
3月20日以降は、一部の店舗は休業、開いている店舗はドライブスルーとデリバリーのみでの営業を行っていました。
その後4月29日に、感染防止を徹底し、5月の終わりまでにはできるだけ多くの店を再開させるとの発表がありました。またそれに伴って、5月の初めからは街角や店内での注文も始まりました。
5月28日現在、営業は再開していますが、ドライブスルー・デリバリー・テイクアウトのみの営業だそうです。
また従業員も勤務前の体温を測定、勤務中のマスクの着用を徹底し、レジ前にはプラスチックの仕切りを用意し、お客さんのオーダーも支払いも、アプリを用いることを推奨しています。
これはアプリを用いることで接客時間の短縮が期待できるからであり、コロナ感染拡大の中で新たに生まれた企業の取り組みであるといえます。
スタンレーパーク
スタンレーパークはバンクーバーの中心に程近い場所にある、広い森林の中の27キロの遊歩道や、海を望むきれいな景色を楽しむサイクリングコースのあるバンクーバーの人気スポットです。
5月末現在、スタンレーパークは利用が可能です。
しかし利用客を減らし、ソーシャルディスタンスを維持するために、車の乗り入れは禁止されています。
また車専用道路は自転車が使い、自転車専用道路は歩行者が使うことで、少しでも安心して公園を利用できるように工夫がなされています。
スターバックス、スタンレーパークを見て分かりますが、バンクーバー市内は徐々に再開はしつつも、依然いくつかの制限が残っているように感じます。
実際に、第2段階で本当は解除対象であるはずの公共の図書館やフィットネスセンターも休館が続いています。
ただスターバックスのように段階的に普段の状態に戻りつつあるケースもあるので、これからも感染対策と経済活動を両立させるための試行錯誤を繰り返しながら、この苦境を乗り越えていくと思われます。
インタビュー
次にバンクーバー郊外に住むホストファミリーに現在の町の様子についてインタビューをしてみました。
ホストファミリーによると、3月中旬から5月中旬までは食料品店、日用品店とレストランがテイクアウトのみで開いている状態だったといいます。
また、スーパーマーケットでは以下のような多くの感染症対策がなされているそうです。
- 人数制限
- 店の外で待つときは2メートルの間隔を取る
- 店のドアには消毒液、レジにはプラスチックの仕切り
- 通るルートの指定
- 商品に触れた場合は購入する、また触る回数を減らすような注意書きが店内にある
- 現金での支払いは原則禁止
- 店員の呼び出しは控える
これらに加え、ソーシャルディスタンスを保つように監視されているといいます。
これらをみると日本のスーパーマーケットと比べ程にならないほどの制限が設けられていることが分かり、買い物に行くだけでもストレスがたまってしまいそうです。
実際にホストマザーもこういった制限にいら立つ客や、定められたルートに従わない客を見たといいます。自由に自らの選択で行動をし、フレンドリーで気さくな人が多いカナダ人にとって、こういった制限が大きな心の負担になることは容易に想像ができます。
5月18日からは休業要請の緩和が始まったそうです。
食料品以外の店舗が再開し、そして6月からは学校も十分な感染防止対策を取ったうえで再開し、生徒が行くかどうかを選択できるそうです。やはりこれらを聞くと、制限は緩和されていっているように思われます。
今後の課題
最後に、今後の課題をホストファミリーの話から考えていきたいと思います。
ホストファミリーは、今後新型コロナウイルスの影響による失業者の割合が増加することを懸念しているそうです。
そこで、苦しい思いをしている人の力になれるようにと、教会を通してフードバンク(食べ物を寄付することで、食べることに困っている人を助ける制度)へお金や食べ物を寄付をしているそうです。
ホストファミリーのこの行動は、キリスト教の考えに即していると感じましたし、インタビューでもたびたび「We trust god.(神を信じている)」という言葉を聞き、この苦しい状況を神とともに乗り越えようという思いが伝わってきました。
まとめ
・3月中旬から感染者が増え始め、現在は増加は収まりつつある
・経済活動の制限は3月中旬から始まり、今は解除が進んでいる段階
カナダではこれまで、マスクの文化はほぼありませんでしたが、今では保健所からもマスクの着用が推奨されています。
日本人にとってもこの状況は耐え難い状況ですが、カナダは被害状況が大きいのに加えて、元々マスクの文化がない、そして制限をかけられることの少なかった状況から、マスクの着用やスーパーでの制限を守る必要のある状況になっていることはカナダ人にとっては苦しい状況であるに間違いないと感じました。
少しでも早く、この状況が緩和され全世界の人々に少しでも前の日常に近い生活が送れる日が来たらいいなと改めて感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
*本情報は、当局が公式に発表した情報や体験等を中心に掲載していますが、新型コロナウイルスをめぐる各国の対応・状況は流動的です。これらの国への渡航を検討される際には、各国当局のホームページを参照するほか、在京大使館に確認するなど、最新の情報を十分に確認ください。
参照
日本貿易振興機構(JETRO)特集:新型コロナウイルス感染拡大の影響