【Global Now-世界の現状#4】韓国人留学生ライターによる韓国のコロナ対策まとめ

2020/05/26

こんにちは!立命館大学経営学部3回生のteamRIMIXライター・YOU JEONGWON(ユジョンウォン)です。

私は現在、日本で留学生として立命館大学に通っています。新型コロナウイルスの感染拡大が少しずつ始まっていた、春季休暇中の2月18日の時点で、韓国に帰省していました。
5月25日現在、飛行機の欠航と入国規制が続き日本に帰ることができず、韓国から大学のオンライン授業を受けている状況です。

韓国は、現時点で爆発的に感染者数が増えるなどといったことはありませんが、イテウォン事件(ソウルの繁華街、イテウォンにあるナイトクラブで5月初めに発生した新型コロナウイルスの集団感染)で感染者が再び増えたこともあり、自分を含め周りの人も感染を警戒している状態が続いています。

今回は私が韓国に来て経験している新型コロナウィルスの感染情報や対策について、現在韓国ではどう対応しているのか、自分自身がどう生活しているのかについてお話ししたいと思います。

感染状況

韓国疾病管理本部によると、5月25日現在、累計で11206人の感染者が確認されています。そのうち10226人は回復したものの、まだ713人が隔離されている状況です。

新型コロナウイルスの感染拡大状況を振り返ってみると、2020年2月18日に発生した31例目の感染者の発生により、状況が急変し始めたようです。
この患者は、 コロナに感染していたにも関わらず、医療陣の検査要請を拒否し教会の礼拝も行ったことが確認されています。
そして翌日、20人の新型コロナウイルス感染者が発生し、大邱(Degu、テグ、대구)・慶尚北道(Gyeongsangbuk-do、キョンサンブクト、경상북도)地域の新天地信者を中心に大量の確定者が発生しました。
疫学調査を通じて、この患者と接触した人数は1160人に上るという結論が出ており、疾病管理本部が大々的な調査に着手し、2月22日までに9600人を検査して自宅待機としました。

そして、危機警報を”警戒”から”深刻”のフェーズにあげ、 韓国全土の救急車が患者の搬送のために感染者が多かった大邱(テグ)に集結しました。
この集団感染がきっかけとなり、感染者が数百倍に増え、イタリアを皮切りにヨーロッパ・アメリカの感染者が爆発し始めた3月10日前までは、感染者数の順位が中国に次ぐ世界2位、人口数対比では世界1位まで上がりました。

現在韓国は、感染者数で見ると世界で45位の数になりますが、梨泰院(Itaewon ,イテウォン、이태원)のクラブでのクラスター発生で6次感染者まで出たことや、小中高の登校再開が始まったことなども考慮すると緊張を緩めることはできない状態です。

規制緩和の動き

韓国政府は5月6日からコロナに対する「社会的距離の確保」から生活の中で距離を置く措置の「生活防疫」に移行することを決定しました。
「社会的距離の確保」=「ソーシャルディスタンス」は地域社会での感染拡散を防ぐため、人々の距離を維持する感染統制措置あるいはキャンペーンを意味する言葉です。

同キャンペーンではまず、石鹸で手洗い、袖で口と鼻を覆って咳払い、外出時のマスク着用など、基本予防規則を守ることが基本として勧告されています。
また、行事の参加自制や人との接触を最小限に抑え、やむを得ず人に会うことがあっても感染防止のため、2メートル以上の距離を置かなければいけません。
企業各社は、フレックスタイム制やリモートワークを実施しており、宗教界でも週末の宗教行事(礼拝・ミサ・法会など)をオンラインに転換し、集会を控えるなどの方法で、ソーシャルディスタンスを確保しています。

4月15日に投開票された韓国総選挙でもソーシャルディスタンスが徹底され、選挙による新規感染者は0人であると発表されています。
室内体育施設や遊興施設に対しては予防規則を破り、摘発されれば集合禁止命令が発動され、感染病予防法によって罰金300万ウォン(約27万円)と患者発生時に入院・治療費、防疫費など損害賠償(求償権)が請求されています。

「生活防疫」は個人防疫と集団防疫に分かれていて、5大基本ルールと4つの補助ルールで構成されています。基本ルールは、

1.病気なら3~4日家から出ない
2.人と人の間は腕くらいのソーシャルディスタンスを保つ
3.30秒間手洗い、咳は手ではなく洋服の袖でする
4.毎日2回以上換気、周期的消毒を行う
5.距離は離れても心は近く

の5つであり、補助ルールは

1.マスク着用
2.環境消毒
3.65歳以上の高齢者の生活ルールの順守
4.健康な生活習慣

の4つです。

集団防疫の基本ルールは

1.共同体が共に努力
2.共同体内の防疫管理者の指定
3.共同体の防疫指針の作成·遵守
4.発熱の確認など、集団保護
5.防疫管理者に積極的に協力する

の5つです。
韓国市民は思ったよりもこの原則をよく守っている印象を受けています。
マスクがなければ入場できない施設もあり、マスクをつけていない人がいれば、お互いにマスクを配っています。

上の写真は規制緩和により韓国の若者が漢江で集まっている写真です。

規制緩和を行い、若者たちが安易に外出したことで、梨泰院(Itaewon、イテウォン、이태원)事件のような集団感染を引き起こしてしまったのではないかと思います。

小中高校の登校も再開したため、防疫とともに日常生活でも気を緩めないようにしなければならないと感じます。

政府の支援

経済支援

韓国のコロナ経済的支援(災難基本所得)は、政府主導と地域主導の2つがあります。

まず、各自治体の災難基本所得を調べてみます。3月13日、全羅北道全州市が全国で初めて非正規職勤労者と失業者など5万人ほどに対し、1人当たり52万7000ウォン(約4万5000円)の緊急生活安定全州型災難基本所得支援金を支給することを決め、以後、徐々に各自治体が関連対策を打ち出しました。

各自治体ごとに支援形態は異なりますが、所得に関係なくすべての住民に支援するという自治体や、所得基準別の差等支援を発表した自治体があります。
名称も緊急生計費、災害基本所得、緊急生活安定資金など自治体ごとに異なります。下は主な5つの自治体の支援金をまとめた表です。

地域 支援名称 支援対象 支援額 支給方法
ソウル 災難緊急生計費 中位所得100%以下 1世帯当たり30~50万ウォン ソウル愛の商品券やプリペイドカード
京畿道(ギョンギド) 災難基本所得 すべての都民 1人当たり10万ウォン 京畿地域貨幣カード·クレジットカード、プリペイドカードの2方式
緊急災難生計費 基準中位所得100%以下 1世帯当たり50万ウォン
釜山(プサン) 緊急民生支援金 小商工人など18万8000世帯 1人当たり100万ウォン プリペイドカード
大田(テジョン 緊急災害生計支援金 中位所得50~100%以下 1世帯当たり30万~63万3000ウォン 地域貨幣・カード
大邱(テグ) 緊急災難生計費 基準中位所得100%以下  1世帯当たり50万~90万ウォン プリペイドカード
光州(クァンジュ) 三大家計緊急生計費 中位所得100%以下など 30万~100万ウォン 光州共生カード

また、政府は緊急災難支援金として5月18日からカードや地域商品券などを支給しています。支援対象は全国民で低所得層は現金で支給されています。次の表は支援額を表した表です。

区分 1人 2人 3人 4人
支援基準 40万ウォン(約3万4千円) 60万ウォン(約5万3千円) 80万ウォン(約6万9千円) 100万ウォン(約8万6千円)

すでに自治体から一部の金額が支給されている場合は、支援金が変わります。

隔離者支援


韓国では、外国から入国する全ての韓国人・外国人に対して、特別入国手続き及び、自宅または施設での14日間の隔離が義務付けられています。

自宅待機をしている人には、14日間生活できる自家隔離支援品が提供されました。
上の写真は、僕と同じ立命館大学の留学生が5月に日本から韓国に来た時にもらった自家隔離支援物品です。

米や海苔、スープ、おかずなどと一緒に様々なお菓子、ティッシュ、歯磨き粉などの生活必需品も提供されます。 また、マスクや手消毒剤、消毒用アルコール、使い捨ての手袋、自家隔離者専用ゴミ袋なども提供されると聞きました。

疫学調査

韓国は新型コロナウイルスの感染経路にとても気を使っている印象があります。
感染者が出ると、感染者の最近3日間の経路が公開され、感染者が訪問した場所は3日ほど休業し、防疫を行います。
このように、感染経路を調査することを「疫学調査」といいます。症状が出た時点から感染日を推定して経路調査をします。供述内容などで同時間帯の接触者を把握する方法です。
接触者は、携帯電話やテレビニュース、インターネットを通じて検査を勧告されます。

「感染病の予防及び管理に関する法律」には、

1.正当な事由なく疫学調査を拒否·妨害又は回避する行為
2.虚偽の陳述をし、又は虚偽の資料を提出する行為
3.故意に事実を漏らして隠蔽する行為

を行った場合、2年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金が課せられると書かれています。
最近では、自分が行った場所を記録しておいたり、記録の証拠になるようにレシートなどを貯めておく人もいます。

逆にこれらの調査が個人情報侵害だと言う人もいます。

しかし、法律で「公衆衛生など公共の安全と安寧のために緊急に必要とされる場合として一時的に処理される個人情報は、個人情報保護法の例外規定では、公共の安全と安寧のために個人情報を公開できるもの」とされています。

このように自分のためではなく他人のために行う情報提供韓国のコロナ対応において重要視されています。

韓国での生活

現在、私は韓国にいますが普段と変わらず生活を送ることができています。
少し違うことがあるとしたら、ほとんどの人がマスクを着用しているということです。
現在、韓国はマスク5部制(生まれ年の最後の数字によって毎日購入できる人が異なる。また、薬局の電算システムによって購入できる数量が決まっている。1人2枚購入に制限されたが、4月27日からは1人あたりの購入数が3枚に増えた)により、マスクが不足するような状況には陥っていません。

しかし、みんな安心してはいません。

バタフライ効果という言葉があるように、自分の取った行動がいつどのような波長を呼んでくるかも分からないことのように、各自の行動に責任を持って日々の生活を送っています。

一日も早くコロナが収束し日本に帰って、みんなと学生生活を送りたいと思ってます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

*本情報は、当局が公式に発表した情報や体験等を中心に掲載していますが、新型コロナウイルスをめぐる各国の対応・状況は流動的です。これらの国への渡航を検討される際には、各国当局のホームページを参照するほか、在京大使館に確認するなど、最新の情報を十分に確認ください。

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