こんにちは、立命館大学経営学部2回生のteamRIMIXライター・熊野亜佑美です。
私は留学生支援団体TISAに所属しており、そして国際寮に居住しています。
今回はここから経た経験を生かして、インドネシアのコロナに関する状況をみなさんに伝えていきたいと思います。
インドネシアの新型コロナウイルスの状況
5月24日時点でのインドネシアのコロナウイルス感染者数は2万2271人、死者数は1373人となっています。
24日の1週間前である17日の感染者数が1万7514人、死者が1148人だったことから、直近の1週間で感染者数は約4700人、死者は約200人増加したことになります。
感染者数が急増していることがわかります。
私のインドネシア人の友達は、つい2週間ほど前まではインドネシアの状況は大丈夫だと言っていましたが、ここ最近は悪化していると言っていました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国内でのインドネシアの状況を見てみると、感染者数はシンガポールの31,616人に次いで2番目でしたが、死者数は1,373人で2番目のフィリピンの863人をはるかに超え非常に危険な状態です。
新型コロナウイルスに対する政策
インドネシア政府の外国人に対する対策は以下の通りです。
- 外国人のインドネシア入国及びインドネシアでのトランジットを原則禁止する。例外として一時滞在許可(KITAS)・定住許可(KITAP)を保持する外国人外交・公用査証保持者、医療・食料関係者等は以下の条件にて入国を許可する
- 各国の保健当局が発行した英文の健康証明書の所持(注)
- 新型コロナウイルス非感染地域での過去14日間以上の滞在
- インドネシア共和国政府によって実施される14日間の隔離を受ける用意があることの宣言
(注)PCR検査の結果が陰性であることを示す記載が必要。該当の記載がない場合はインドネシア到着時に迅速抗体検査(Rapid Test)を含む追加的健康検査を実施し、新型コロナウイルスに感染していない場合のみインドネシアへの入国が認められる
インドネシアの現地の状況をインタビュー
インドネシア人のほとんどは自宅で仕事をしていて、学生の方は自宅で授業などを受けているそうです。
政府は5月1日現在、インドネシア人がPSSBに準拠するように要請しています。
(Pembatasan Sosial Berskala Besar, 大規模な社会的制限)
しかし、歯止めのかからないコロナ感染者数の増加で、国民からも不満の声が上がっているようです。
また、家の外から出たい場合にも少しルールがあるようで、人やモノの移動制限や特定分野以外の活動の一時停止、外出を自粛する呼びかけ、マスクの着用、公共交通機関の運行制限・乗車人数などの制限がある模様です。
宗教とコロナの関係
ところで、インドネシアの人の約87%はイスラム教なのを知っていますか?
実は4月23日から5月23日までイスラム教の人はラマダーン(断食月)を実施していました。
ラマダーンの時期は、暁から夕方の間は飲食禁止という厳しいルールがあります。
(他にも少しルールはありますが、ここでは省きます)
そして厳しいことをしたあとにパーティーはつきもの!
そうなんです!イスラム教の人たちはラマダーンが終わると、みんなでパーティーをすることが多いそうです。
しかし、大人数が同じ場所に集まることによる感染拡大が懸念されていました。
そこでジョコ・ウィドド大統領は、感染防止のため「断食明けの大祭休暇での帰省禁止」という方針を打ち出しました。
この方針では「新型コロナウイルスの地方都市への感染拡大阻止」を目的とし、生活に苦しむ市民(とくに貧困層)が、断食明けの生活を維持するために親戚や実家を頼って地方の実家などに帰省することを禁止したそうです。
これによって、断食という年に一回の大事な行事を終えたにもかかわらず、不満を持っている人が多いようです。
現在、経済自体が停滞気味で、生活への補償を行いづらい状況であるインドネシアではこのように行動を規制することもやむを得ないとは思いますが、断食明けの貧困層にとってかなり厳しいといえるでしょう。
また、断食も終わり、昼間に出歩く人たちも増えてきているようで、政府は“密”にならないように呼びかけているそうです。
インドネシア政府のコロナ政策
まず、インドネシア政府による新型コロナウイルス対策の現状を確認していきましょう。
コロナ政策に関しての政府への侮辱の容疑で逮捕されたという情報は2ヶ月間で3名以上います。
同じ容疑で逮捕されたのは、ジョコ・ウィドド大統領が就任した2014年7月から2020年3月の新型コロナ流行前の6年間で10人程度しかいないにも関わらず、たった2カ月間で3人の逮捕というのはかなり異例のようにも思えます。
一方で、5000万〜7000万人いるインドネシアの先住民たちは、自らのコミュニティの封鎖を積極的に行ってきました。
例えば、ボルネオ島のスンガイ・ウティックに住むイバン・ダヤック族は、コロナが東南アジアで猛威を振るい始めた3月の上旬には、部外者や観光客のアクセスを遮断していました。
政府に頼らずとも、自分たちで政策を考え動くことが先住民だからこそ実現可能なのでしょう。
これは長い間、独裁政権に慣れてしまったせいであるとも考察することが出来ます。
日本政府の動き
日本政府は、インドネシアに対して100人分(12,200錠)のアビガンを無償で供与し、5月19日、保健省が受領しました。
インドネシア政府の要請を受け、新型コロナウイルスに関連するアビガンの臨床研究を拡大することが目的です。
まとめ
インドネシアでは政策がまだ少し不十分なようにも思えるような状態がまだ続きそうです。
インドネシアの状況を踏まえつつ、私たちもコロナの感染者がひとりでも増えないように、何をしていくべきなのか、ひとり一人が考えていく必要があると感じました。
*本情報は、当局が公式に発表した情報や体験等を中心に掲載していますが、新型コロナウイルスをめぐる各国の対応・状況は流動的です。これらの国への渡航を検討される際には、各国当局のホームページを参照するほか、在京大使館に確認するなど、最新の情報を十分に確認ください。
参照
外務省海外安全ホームページ
在インドネシア日本国大使館
Jpress