こんにちは! teamRIMIXライター・立命館大学経営学部4回生の佐藤乃亜と経済学部4回生の河合俊尚です。
私たちは、以前までカンボジアで教育支援を行う学生団体に所属していたため、カンボジアは第二の故郷と言えるほど親しみのある国です。
特に河合は2019年4月から2020年3月末まで、トビタテ留学JAPAN日本代表プログラム10期生としてカンボジアの首都プノンペンに滞在していました。
この記事ではカンボジアの新型コロナウイルス感染状況と、カンボジア在住者から聞いたリアルなコロナの影響についてもお伝えしたいと思います。
感染状況
外務省の発表によると、6月1日時点のカンボジアの累計感染者数は124人で、現在2名が治療中です。コロナウイルスによる死者は確認されていないこと、隣国のタイの累計感染者数が3000人以上だということを加味すると、カンボジアはコロナウイルスの抑え込みにかなり成功している国だと言えます。
現在では、徐々に経済活動が再開され街にも活気が戻りつつあるのですが、世界遺産アンコールワットのお膝元として有名な観光地シェムリアップは依然として閑散としている状況です。
ちなみに、カンボジアのコロナ事情と聞くとクルーズ船「ウエステルダム号」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
日本を含めたアジア諸国が入港を拒否したクルーズ船「ウエステルダム号」を最終的に受け入れたのはカンボジアです。
「ウエステルダム号」は乗員乗客2,257人を乗せて2月1日に香港を出港したクルーズ船で、4名の日本人が乗船していました。クルーズ船「ウエステルダム号」については、横浜に入港した「ダイヤモンドプリンセス号」と並び日本でも連日報道されていたので、みなさんの記憶にも新しいかと思います。
当時このクルーズ船の受け入れによる感染者の拡大が危惧されていましたが、カンボジアに入港後すぐに行われたPCR検査では、乗員乗客全員が陰性でした。
政府のコロナ対策
感染者数が爆発的に増加しなかった理由として、カンボジア政府の素早い判断と大胆な政策があげられます。ここでは政府の2つの政策を紹介したいと思います。
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感染者数の多い欧米5カ国とイランからの入国禁止措置
3月中旬、感染者数が爆発的に増加していた欧米5カ国(イタリア・ドイツ・フランス・アメリカ)とイランからカンボジアに入国する外国人に対し、入国禁止措置が取られました。
カンボジアの主力産業の一つは観光業です。外国人の入国禁止措置は観光客数の減少に直結し、カンボジア経済に多大な損失を与える可能性があります。このような背景を考えると、この政策から政府の強気な姿勢を感じ取ることができます。
※5月20日、すべての国からの入国禁止措置が解除されました。
- 州都間の移動制限(1週間)
4月上旬、カンボジアでは毎日のように新規感染者が確認されていました。この状況を受けて、カンボジア政府はすぐに州都間の移動を制限する命令を出しました。
驚くべきことはそのスピード感です。
4月9日に州都間の移動を制限することを決定し、4月10日0時から実際に移動が制限されました。
このことをより簡単に理解していただけるように日本に置き換えると、
「明日から他県への移動を禁止します。みなさんの都合もあるかと思いますが、明日以降は県をまたいだ移動はできません。移動が必要な人は頑張って今日の23:59までに移動して下さいね」
と、いきなり発表されるようなものです。
これは政策を発表するまでに時間のかかる先進国では実現できない、途上国ならではのスピード感だとも言えます。
カンボジア在住者へインタビュー
5月20日にカンボジアの首都プノンペン在住で美容師として働かれているKさんと、民泊運営代行会社で働かれているSさんにインタビューをしました。
Q. 外出自粛は行われていますか?
A. 「政府から突然プノンペン(首都)を出るな!州をまたぐなら今日までだ!と要請があり
驚きましたね。」
「もっと驚愕だったことは、州境にはなんと戦車が出動していたことです」
カンボジア政府のスピード感には国民も驚きだったようです。また、カンボジア政府の徹底ぶりを感じます。
Q. カンボジアでは外出時にマスクをつけている人はどれくらいいますか?
A.「ピーク時は9割以上の人がマスクをつけていました。今でも7割くらいの人はつけています」
「カンボジアでもマスク需要の増加と共に価格は高騰しています。最も高い時には50枚入マスクの相場が22ドルまで上がっていたようです。なので、比較的貧しい方は布マスクや落ちているマスクを使う人もいるみたいです。」
Q. 飲食店などの感染対策とは?
A. 入店時に検温やアルコール除菌、ソーシャルディスタンスの確保は意識されています。
Q. サービス業のお二人の仕事への影響は?
A. 美容師「お店は徹底した感染対策を行い、通常の営業を行なっています。しかし、客足は目に見えて減り、収入は普段の半分程度になりました。」
民泊業界「カンボジアの宿泊施設の稼働率は前年の8~9割ですね。海外の旅行客がほぼ0になり、自主隔離として利用する方がわずかにいるぐらいです。そのため、会社全体で勤務時間が20%短縮され、それに伴い、お給料も20%カットになりました。」
「カンボジアでもサービス業や観光業では外出自粛や海外からの入国規制により経済的に打撃を受けています。」
Q. 政府からの経済支援策は?
A. 「政府からの給付金はありません。送られたのは声援ぐらいです(笑)」
Q. コロナの影響による街の様子や変化は?
A. 「まず、娯楽施設(映画館・カラオケ・ビアガーデン・カジノなど)の大半が閉まっています。またマーケットや屋台も閉めるところが目立っていました」
「カンボジアでは感染者数0が1ヶ月以上続く中でも、濃厚接触が危ぶまれる施設での閉鎖要請が続いています。早く遊びに行きたいです」
まとめ
インタビューにご協力頂いた2人に「カンボジアがコロナの感染拡大を阻止できている理由」を伺いました。
すると、政府による的確で迅速な政策もそうですが、カンボジアでは平常時から日常的に電車やバスを利用する人がほとんどいないそうです。トゥクトゥクやバイクが主な交通手段であることも「三密」を作らないという点で効果的だと感じました。
記事の作成を通して、大好きなカンボジアの現地の声・街の様子といった現状を知ることができ、より一層”早くカンボジアに帰りたい”という想いが強くなりました。その想いを叶えるためにも、今は外出自粛を心がけ、以前のような日常が戻ってくることを願っています。
*本情報は、当局が公式に発表した情報や体験等を中心に掲載していますが、新型コロナウイルスをめぐる各国の対応・状況は流動的です。これらの国への渡航を検討される際には、各国当局のホームページを参照するほか、在京大使館に確認するなど、最新の情報を十分に確認ください。