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イノベーションソムリエ教室 開催レポート#01

イノベーションソムリエ教室 開催レポート#01

RIMIX事務局です。今回は、イノベーションソムリエ教室のプログラムの様子を報告いたします。

イノベーションソムリエ教室とは、研究室や自身の活動で創出した技術やアイデアを高いレベルにブラッシュアップし、社会実装を考えている人向けの起業家育成プログラムです。

本プログラムでは、イノベーション学の第一人者である山口栄一教授から、全5回の座学と全4回の演習を通してイノベーションの起こし方に関して学びます。

プログラム概要

日程・対象
2021年5月〜9月
立命館大学の学部生・大学院生・研究者

概要

  • 本プログラムは、5回の座学と4回の演習から構成されます
  • 5月から7月は講師と対話形式でイノベーション学について学びます
  • 社会インパクトを与えるサービスはどのように生まれたのか、イノベーションのパターンや創り方を学び、それを元に研究室、課外活動で日頃検討している・持っているアイデアをイノベーションを起こすビジネスアイデアにまで昇華する方法と考え方を学びます
  • 8月と9月はアイデアのショートプレゼンと他の参加者からのフィードバックをもらうことができる、イノベーション創出の体験を重視した演習を行います

講師

講師:山口栄一氏
(立命館大学 教授/京都大学 名誉教授)

東京大学理学部物理学科、理学系研究科物理学専攻修了、理学博士 (東京大学)。NTT基礎研究所、経団連21世紀政策研究所等を経て、2014年より京都大学大学院総合生存学館教授・産官学連携本部教授兼務、2020年より立命館大学教授。5社のハイテク・ベンチャー企業を創業。

詳細は「イノベーションソムリエ教室 from RIMIX Dialog」をご覧ください。

イノベーションソムリエ教室(座学)
起こすべきイノベーションとは

本プログラムは、理系の研究室を所属している学生を中心に募集していましたが、理系4回生以上の学生、1回生や経営や政策系の学生まで幅広くご参加いただきました。元々少人数の参加を狙っていましたが、今回は10名の参加者が集まりました。

──イノベーションとは何か
2021年5月。「イノベーションとは何か」という問いからプログラムが始まりました。プログラムはオンラインミーティングアプリを使用して行われ、講義中は少人数ならではのメリットを生かし、生徒との会話を重視しながら進められました。

最初に学んだことは、ヨーゼフ・シュンペーター、クレイトン・クリステンセンによるイノベーションの定義、イノベーションの種類について。イノベーションとは、経済的・社会的価値を生み出すあらゆる改革行為のことです。またイノベーションには、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2種類があります。この破壊的イノベーションは社会にインパクトを与えるイノベーションです。

本プログラムでは「自分のアイデアが破壊的イノベーションを持つようにするためにどのように検討すれば良いかをパターンを知ること」を目標に進められます。

破壊的イノベーション
イノベーションについて(授業中の資料を参考に一部改変)

──破壊的イノベーションの製品と思うものは?
講義中、「どのような製品が破壊的イノベーションを持って誕生したのか」と言う山口先生の問いに対して、学生たちは思い思いに商品名を挙げていきました。破壊的イノベーションの定義に該当しない商品名も上がる一方で、身近なものが破壊的イノベーションを持つ製品だったりし、破壊的イノベーションの身近さを感じました。

「それでは破壊的イノベーションはどのような思考プロセスを経て、生み出されるものでしょうか。」続いて、このような問いが山口先生から発せられ、破壊的イノベーションを生み出すまでのプロセスを図示したものを学びました(上図参照)。

破壊的イノベーションは、1.過去の研究を発展させて明らかになった新しい知識を得て、2.その知識を活用したサービスを創出することで生み出されると言うものでした。1.は研究活動そのものであり、2は開発活動です。

しかしながら図示されたものは抽象的のため、破壊的イノベーションの具体的な事例を、青色LEDの研究と開発の歴史を説明していただきました。それは次のようなものでした。

青色LEDの発明と破壊的イノベーション
日亜化学工業株式会社のロゴ(ホームページより)

──ZnSe vs. GaN
1970年代の青色LEDの実現に向けた研究をしていた研究者らは、赤色LEDの研究を発展させて実現させようと取り組んでいました。赤色LEDはセレン化亜鉛(ZnSe)を使って実現されるものです。

当時の多くの研究者たちがセレン化亜鉛(ZnSe)を使って青色LEDの実現のアプローチを取っていたのに対して、日亜化学の赤崎さんは窒化ガリウム(GaN)を使うアプローチを取っていました。青色LEDを作ると言うことは、簡単に言うと青色に発光する分子結晶を作ることを意味します。

ただしGaNを使って結晶を作ることは非常に難しいものでした。企業・研究者にとって研究費用・研究時間は限りがあるものです。また彼らはZnSeの研究開発のノウハウを持っていました。そのため多くの研究者・企業が、GaNを使った研究を長く行わなかったり、ZnSeのアプローチにコストを掛けていただろうということは、想像に難くありません。

──青色LEDの実用化
そんな中、根気強くGaNの結晶を作る研究を行っていた企業、日亜化学の研究者・天野さんと赤崎さんがGaNの結晶を作ることに成功しました。(周りの研究者がZnSeを使ったアプローチをしていたからという理由でGaNのアプローチを選んでいたらしいです。そしてこの知の創出がノーベル賞を受賞のきっかけとか。)

彼らは「1.過去の研究を発展させて明らかになった新しい知識を得」ました。この出来事を皮切りに、日亜化学工業は中村さんも含めGaNを使った結晶を作成の研究をどんどん発展させていきました。

そして、数年後。この発展した多くの知識を応用し、青色LEDが実用化されました。(日亜化学工業の研究者たちによって「2.その知識を活用したサービスを創出することで生み出され」たのです)。

今でこそ青色LEDはスマートフォンや蛍光灯に使用されるなどして、非常にありふれた身近なものですが、LEDの分野で赤色から緑色の光しかなかった当時の社会に、青色の光を提供するというという新しい市場が生み出されたのです。

まとめ
授業の様子

──文系の人も破壊的イノベーションを起こせるか?
講義の中で学生が山口先生へ向けた質問の一つに、「この話は、研究室で研究しないとイノベーションを生み出せないという話に聞こえる。研究室を持たない理系以外の学生はどういう風に破壊的イノベーションを起こせば良いか?」というものがありました。

その問いに対して山口先生は「理系じゃないからと言って半導体や理系の勉強を避けるのは良くない。自分が解決したい社会問題に対してどういう技術を使えば解決できるか調べて勉強すれば良い。今まで気に留められていなかった誰かの最新の研究成果を活用して社会問題を解決できるサービスを生み出せれば、そのサービスは破壊的イノベーションをもたらす」とおっしゃられました。つまり、破壊的イノベーションのプロセスの、1.を知り、2.を頑張ろうということです。

イノベーションと聞くと壮大なものをイメージすることが多いですが、実は身近なものであり、パターンがあることを学びました。
参加された学生たちは、プログラム後半から、仮想的に会社を興した時にどのような破壊的イノベーションをもたらすサービスについて考える、イノベーション創出の体験を行う予定です。この様子も後日レポートいたします。

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