OIC CONNÉCT HAPPEN #2|OIC CONNÉCT HAPPEN #2|大阪産業局 石嶺一樹さん × 株式会社モクジヤ 鈴木粋さん(同志社大学)

立命館とVenture Café Tokyoが毎月1回OICで開催しているイノベーション促進プログラムOIC CONNÉCTは、「イノベーションは社会とつながるキャンパスから」をコンセプトに、新しい挑戦をしたくなるような機会を提供し、イノベーション・コミュニティを創出することを目指しています。OIC CONNÉCT、そしてVenture Café が大切にするミッションは“Connecting Innovators to Make Things Happen.” OIC CONNÉCTで生まれた、新たなHAPPENをご紹介します!


今回ご紹介するのは、大阪産業局でスタートアップ支援をされている石嶺一樹さんと、同志社大学経済学部で、株式会社モクジヤの代表取締役の鈴木粋(すい)さんです。いったいどんなOIC CONNÉCT HAPPENがあったのでしょうか?インタビュアーはOIC CONNÉCT学生アンバサダーの平田が務めます。ぜひご覧ください!

平田:まずお二人の自己紹介をお願いします。まずは石嶺さん、お願いできますでしょうか?

石嶺一樹さん
公益財団法人大阪産業局
スタートアップ支援事業部

石嶺:大阪産業局のスタートアップ支援事業部に所属しています、石嶺です。大阪産業局はスタートアップや中小企業の支援をしている団体です。2015年に大阪の堺筋本町にある大阪産業創造館の創業支援チームというところに配属されたことがキャリアのスタートです。2年前に大阪イノベーションハブに異動し、そこからは基本的にスタートアップ支援をずっとやっています。

平田:ありがとうございます。続いて鈴木さん、お願いいたします。

鈴木 粋さん
株式会社モクジヤ 代表取締役
(同志社大学経済学部)

鈴木:同志社大学の経済学部に所属しております、鈴木粋です。OIC CONNÉCTの学生アンバサダーも務めています。また現在、京都を拠点に株式会社モクジヤを運営しております。モクジヤでは「挑戦し続けられる世界をつくる」を目指しており、現在は我々が“挑戦を妨げる要因”だと考えている「お金・マインド・方法」の三つに焦点を当てて、奨学金図鑑や創業者図鑑といったサービスの展開をしております。

株式会社モクジヤでは現在、日常生活の中で資金が必要な学生に向け、各奨学金のメリットやリスクなどをビジュアル化し、わかりやすく把握できる「奨学金図鑑」や挑戦する人たちの精神面を支えたり、マインドを学んだりすることができる「創業者図鑑」などのサービスが展開されています。
現在は、まず「お母さん・お父さんがおこづかいを介して、我が子に挑戦し続けられる環境を作ってあげられる社会づくり」を目指して、おこづかい設計サービス「モクジヤペイ」を作っておられるそうです。

平田:お二人はどこで知り合ったのですか?

石嶺:昨年7月にOIC CONNÉCTでROCKET PITCH NIGHT KANSAI2023が行われ、そこで大阪イノベーションハブ(以下OIH)からブース出展をさせていただきました。
本来は他の担当者がいたのですが、その方が別の役割で手一杯ということで、たまたま僕がブース展示のお手伝いをしていたんです。そしたら向かい側にドリンクコーナーがあり、そこに鈴木さんがいらっしゃいました。OIHの文字を見た鈴木さんが声をかけてくれて、鈴木さんの事業についてやOIHの支援についてのお話をさせていただいたのが最初の出会いです。

インタビューの様子(左:鈴木さん 右:石嶺さん)

平田:鈴木さんは「奨学金図鑑」という奨学金に関する事業をなさっているとのことですが、奨学金という分野に何か特別な思いがあるのでしょうか?

鈴木:大学1年生の時の経験がきっかけです。大学では教科書購入があると思うのですが、あれって結構お金の出費がすごいんですよね。例えば春学期だけで数万円かかってしまうとか。そして買ったのはいいものの、たいして使わなかった教科書とかもあるんですよ。「使わない教科書にお金が流れていき、自分が読みたかった本や買いたかったものが買えない」という時期がありました。その経験がきっかけで、“学びを取り巻くお金”に違和感を持ちました。そして色々と調査・活動をしていく中で「生活費のための奨学金」、「学費のための奨学金」などと「奨学金」というワードを聞く機会が増えてきて、奨学金について調べ始めました。すると課題の壁が見え始めて、これは素通りしてはいけないと思い、奨学金分野への道を進むことを決めました。あとは、奨学金の説明とかって見にくかったり難しかったりすることが多いんです。どんなメリットやリスクがあるのかなど、保護者の方も学校の職員の方もわからなかったりすることもあります。僕は、絵やデザインは得意だったので奨学金に関する説明を図鑑としてまとめてみようと思い、生まれたのが奨学金図鑑です。図鑑に出てくるキャラクターやグラフは全部自家製です。

石嶺さん:すごいわかりやすいですよね。僕はこんなに奨学金があることも知らなかったです。

鈴木:僕らもまだ100制度ほどしかまとめられていないんですが、日本には実は6000制度程、給付の奨学金があるんです。でもなかなか知られていないのが現状です。

平田:そういった背景があったのですね。鈴木さんの奨学金に対する想いを聞いたところで、本題のHAPPENに関してお話を伺っていきます!

OIC CONNÉCTに参加して起こったHAPPENを教えてください!

「コネクト⇒沖縄県の奨学金制度の設計に従事?!」

鈴木:1番はやっぱり石嶺さんにお会いしたことです。石嶺さんには、初めてお会いしてから定期的に情報提供をしていただいているのですが、中でも自分の中で大きかったのが、沖縄県久米島町の奨学金設計アドバイザーの情報提供でした。

平田:石嶺さんはその情報をどこでお知りになったんでしょうか?

石嶺:複業クラウドというサービス内で見つけました。大阪府とOIH共催のSIOというプログラムがあるんですが、そこで複業クラウドを運営している株式会社Another worksの大林社長にメンターを務めてもらっています。そこで私自身、大林社長と初めて会い、どんなサービスをされてるんだろうと思って複業クラウドに登録して何気なく情報を見ていたんです。そしたらある日、「沖縄の久米島町が奨学金設計のアドバイザーを探している」という情報をたまたま目にして。私の中で「奨学金=鈴木さん」だったので、すぐにご連絡しました。

正直紹介するべきかどうか迷いました。報酬もなかったし労力だけ取られるんじゃないかって。でも、この先自治体などと連携していくなら、ノウハウを学んだり自治体のニーズを把握したりすることは、鈴木さんにとっても勉強になるかなという軽い気持ちで、結局は情報提供をすることにしました。まさか申し込むとは…(笑)。

鈴木:すごくありがたかったです。実は、久米島町の前に堺市の実証実験支援にもエントリーしたことがありました。自分がこれまで学んだことや経験したことをかなり落とし込み、提案を作っていたのですが、やはり制度設計の経験がないため、詰まってしまう部分もあったんです。結果としても堺市の方はダメでした。そんな時に石嶺さんから久米島町の奨学金設計アドバイザーの求人を紹介していただいたので、良いチャンスだと思ったんです。堺市の方も、石嶺さんから情報をいただきましたよね?なのでだいぶお世話になっています(笑)。

実際のミーティングの様子

平田:久米島町の奨学金設計アドバイザーの求人、素人の感覚ですが、学生が採用されるというのはかなりすごいことなのでは…?

鈴木:応募者は結構いたみたいです。中でも学生応募は僕一人だけだそうで(笑)。でも、奨学金の知見は誰にも負けない自信がありました。

石嶺:鈴木さんが作っているこの奨学金図鑑。これ見たら、そりゃ相手もびっくりしますよね。

鈴木:ありがたいことに、異例の学生採用だそうです。

HAPPENまでの流れ

平田:鈴木さんにHAPPENをお話いただきましたが、石嶺さんは何かHAPPENはあったでしょうか?

石嶺:まずびっくりしましたよね(笑)。僕の情報提供をポジティブに捉えてくれて、実際に申し込み、自分の実績にもしてくれたのはすごく嬉しいです。僕にとっては軽い気持ちでやったつもりだったんですが「自分のやっていることは、軽い気持ちであっても起業家の方々の役に立つかもしれない」と、僕の中の成功事例が一つできました。

平田:今回のHAPPENで鈴木さんは奨学金制度を設計する側へと回ったわけですが、今後の抱負・意気込みなどあれば教えて下さい。

鈴木:冒頭でも少し触れましたが、次は「お小遣い設計」に力を入れていきたいと考えています。
奨学金やお年玉、お小遣い、生活保護など、第三者の想いが込められているお金があると思うのですが、それらはなかなか使い道を限定することが難しく、奨学金を貰っている学生が、蓋を開けてみたらそのお金をパチンコに使っているとか、ゲームの課金に使っているとかもあったりするんです。それももちろん大切なんですが、特にお小遣いなどであれば親御さんの想いもあるため、そればっかりにお金が流れてしまうのは良くないと思っています。これまでは「奨学金図鑑」でただ情報を提供するだけだったのですが、お小遣いを設計(一部用途を限定)出来るようなサービスを作ることで、より良い学びに繋げていただくことを目指しています。今年1年は「支援をしている方の気持ちを、ユーザーへ届けていく」ということを意識しながら、事業の火種を育てていこうと考えています。

モクジヤペイ

平田:お二人が出会うきっかけともなったOIC CONNÉCT。鈴木さんにお聞きします。あなたにとって「OIC CONNÉCT」とは?

鈴木:OIC CONNÉCTでは、これまで普通に生きていたら会わなかったであろう人ともたくさん出会うことができました。もしOIC CONNÉCTに出会ってなければ石嶺さんを含め、OIHと関わりを持たせていただくこともありませんでした。もしくは、OIH自体を知らなかった可能性もありました。このように本来自分の意識の飛んでいなかった人と出会うことができるというのが一番自分の中では大きかったのかなと思います。OIC CONNÉCTは僕にとって「自分に合った面白い人と出会える場所」です。

平田:最後にお二人の方から、OIC CONNECTへの参加を検討されている方へメッセージをお願いします。

鈴木:起業家って「自分の事業を発信する」という部分にどうしても意識がいきがちなんですが、2023年振り返って「自分がどういう情報を入れるかが大切」だと思っています。そんな時に、周りから情報を取り入れることができる最適な場所がまさにOIC CONNÉCTです。

変な話、嫌でも情報が入ってくるといった表現が正しいですかね(笑)。でも、結果的にそういった情報が今後の自分の事業に活きてくることも多いです。そういった意味ではOIC CONNÉCTは情報収集には最適な場所だと思います。

石嶺:OIC CONNÉCTは、鈴木さんがおっしゃったようにネットワーキングや情報収集の場であるということはもちろん、自分自身のモチベーションを上げる場にもなると思っています。OIC CONNÉCTには志が高い人が集まると思うんですが、そういった方のお話を聞くだけでも自分の考えていなかった項目やヒントを得られると思います。足踏みされている人こそ、こういった場に足を運ぶことで新たな道を切り開けるのではないかと思います。

インタビューは以上です!お二方、ありがとうございました!

株式会社モクジヤ代表の鈴木さんや大阪産業局(OIH)の方と繋がりたいという方は、ぜひOIC CONNÉCTへお越しください。お待ちしております!


インタビュアー紹介

平田 康介(#インタビュー特訓中)

立命館大学経営学部3年生。OICCONNÉCT学生アンバサダー。
画像認識AI技術を用いて「世の中の目」となることを目指すMOUantAI(モウアントアイ)というチームに所属しており、介護施設の食事摂取量測定の課題を解決する「めしパシャ」の立ち上げに取り組んでいる。

吉田 航大(#熱きチャレンジャー)

立命館大学 経営学部 3年生。OIC CONNÉCT学生アンバサダー。全ての人が過ごしやすいユニバーサルな社会の実現を目指す「バリア体験型カフェ」を運営する学生団体feelの副代表を務める。


OIC CONNÉCTの雰囲気を知りたい方はInstagramをご覧ください!

OIC CONNÉCT

OIC CONNÉCTは、学校法人立命館が主催し、Venture Café Tokyoが立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)で開催する、誰もが無料で参加可能なイノベーション促進プログラムです。

これまでOICが培ってきた「地域に開かれたキャンパス」の特徴をさらに進化させ、大学の枠を超えた「ヒト・コト・モノがより触発しあうキャンパス」を目指す取り組みの一貫として開催していきます。

このプログラムは毎月開催することで、起業家や研究者、学生など多様な人が交流し、学び合う機会の提供を通じ、関西を中心としたイノベーション・コミュニティを創出することを目指します。多様なイノベーター達による講演やイノベーションを加速させるワークショップ等を通じて参加者は学びを得ながら、そこで得た共体験を梃子にネットワークを拡げることが出来ます。

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