こんにちは、RIMIX事務局です。
RIMIXでは、学校法人立命館の学園ビジョン2030「挑戦をもっと自由に」の具現化の一つとして、新たな事業を通じた社会課題解決の挑戦を支援することを目的に、2020年度に「RSIF(立命館ソーシャルインパクトファンド, Ritsumeikan Social Impact Fund)」を設立しました。
立命館学園の学生・卒業生(校友)や教職員の起業や事業を支援し、社会起業家のエコシステム・プラットフォームを目指します。
「RSIF社会起業家インタビュー」では、RSIFの投資先である企業で活躍する社会起業家にインタビューを行います。
第3回となる今回は、地域の不動産の管理業務と住民のライフスタイルを繋ぐワークシェアリングサービス「COSOJI」を提供する「Rsmile株式会社」の代表取締役で、立命館大学卒業生の富治林希宇さんに、ご自身の起業の経験や同社の事業展開についてお話を伺いました。
マンション・アパートの所有者・管理者と、近所で働きたい人をマッチングするサービス「COSOJI」。
「COSOJI」を提供するRsmile株式会社を立ち上げた、代表取締役の富治林希宇さん(立命館大学卒)は、地方や不動産における様々な実体験を元に、不動産に関わる全ての人々に「快適で安心な環境」を提供すべく、独自のサービスを提供されています。
富治林さんは、COSOJIを通して、「適切な建物の管理という業界の課題解決を起点に、いい街を作りたい」と語ります。
起業のきっかけ
京都の田舎がご出身の富治林さん。そこで培った原体験が幼い頃の関心や現在のサービスに繋がっています。富治林さんは学生時代から、街づくりや地域活性化に関心を持たれていました。大学では建築関係を専門に学び、卒業後は不動産関連のキャリアを重ねておられます。
そのなかで、民泊や古民家の改修事業に携わっていた時のことについて、詳しくお話を伺いました。
通常であれば、事業会社が自身のノウハウや人脈を用いて進めていきますが富治林さんは異なる方法で事業を行なっておられました。
それは、あえて地域の人たちに受付などのレセプションを行ってもらうというものです。
そうすることで、地域の方々のホスピタリティが、サービスの満足度向上に繋がったといいます。
標準化することによって、満足度が下がることもあるそうで、だからこそ地域の人たちにレセプションを行なっていただくことを大事にされています。
この経験から、サービスを地産地消で行うことの重要性を感じ、今のCOSOJIのサービスに生かされていると語ります。
また、起業のお話をお聞きする中で、事業内容だけでなく、チームメンバーの集め方からも、富治林さんの熱量を強く感じました。
自らプログラミングスクールに通い、当時一緒にスクールに通っていたメンバーに自分自身の実現したいビジョンや解決したい課題を語ったそうです。その熱量や、課題の明確さに惹かれた方々によって、今のCOSOJIというサービスや課題ドリブン且つユーザーファーストで事業を進める文化が生まれました。
COSOJIは、「地域のスキルある方や地域を活性化したい方」と「不動産の管理をしている方」をつなげるサービスです。
地産地消で不動産管理の問題を解決することによる顧客のサービス満足度や、地域で仕事を循環させることによる地域活性化、そして解くべき業界課題の明確さ。「地域」「業界」「オーナー」の三方よしの体現に向かっておられます。
徹底的なユーザーファースト
COSOJIのサービスは、今や全国津々浦々に広がりを見せています。
いったいなぜ、各地でCOSOJIが求められるようになったのでしょうか。
それは、インタビューを通して一貫した富治林さんのスタンスに、ヒントがありました。
「徹底したユーザーファースト」
常にユーザーの求めているものを考えていると強く語る富治林さん。
「不動産の所有者の多くは、長年どうにかしたいと考えていた困り事を抱えていますが、それを解決する手段はありませんでした」
例えば、「安く清掃を頼みたい。リアルタイムで物件の情報を確認したい」というオーナーさんの思いがあります。
だからこそ、そこに手を差し伸べ、サービスを広められています。
満足度やホスピタリティの高さが功を奏し、ユーザーは周りの人にもCOSOJIを紹介します。この口コミの連鎖により、COSOJIのサービスは全国に広がっています
COSOJIから生まれる社会的インパクト
COSOJIのサービスを進めるにあたり、富治林さんはどこに社会性や地域性を感じるのか、お話を伺いました。
継続して地域の建物の管理を行うことにより、近隣の農家さんと仲良くなり、大根をもらうこともあるそうです。「これには地域性をすごく感じる」と富治林さん語ります。
また、空き家の課題解決を図る事業では、空き家の課題解決だけではなく、結果的に雇用問題の解決の兆しが見えたりすると言います。
特に田舎では顕著に現れる課題である、「適切な建物の管理がされていない事による、地域や不動産の価値の減少」という課題を解決する中で、さまざまな方面で社会的インパクトを発揮されていることが知れました。
他にも、ユーザーや利用者の方々から感謝のコメントを集め、どれだけの方に満足していただいているのかを測定されています。一日、数十件とコメントが来るそうです。これも一つの社会的インパクトの形と言えます。
学生に向けてメッセージ
最後に富治林さんから、立命館の学生、これから起業したいと思う若者に向けてメッセージを頂きました。
「とにかくやりたい事をやる。楽しいと思うことをしよう。インターンもお待ちしております!」
また、社会起業家を目指すすべての人に向けて、もう1つアドバイスを頂きました。
「そもそも社会起業家というのは抽象度が高いので、もっとブレイクダウンして考えるといいと思います。本人が何をしたいのか、何を持って社会起業家とするのか。具体的なところで考えるというのが大切だと感じています」
PROFILE
富治林 希宇さん
立命館大学時代に建築を学んだ後、大手不動産会社であるザイマックスグループにて、様々な不動産の管理・運営に従事。その後、投資銀行のファーストブラザーズにて多数の不動産投資・運用業務を執行後にクラウドリアルティにて投資銀行部長とし、まちづくり・新規事業支援・不動産開発・運営・プラットフォーム開発・組織づくりなどに従事。2020年Rsmile株式会社を創業し、不動産業界のワークシェアサービスCOSOJIを展開。仕事の地産地消による地域活性化を目指す。
Rsmile株式会社 https://cosoji.jp/owner/company/
2020年創業のスタートアップ。不動産に関わる全ての人々に「快適で安心な環境」を提供することを目指し、地域の不動産の管理業務と住民のライフスタイルを繋ぐワークシェアリングサービス「COSOJI」を展開。「Global Greek Academy」や「B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka – Pitch Arena」で優勝するなど、多数の受賞歴も持つ。
INTERVIEW
武田海希(立命館大学生命科学部 4年)
大学入学後、学生団体やNPO法人にて新興国に対するボランティアを行う。学部ではミドリゾウリムシの研究を行う。大学4年時には、ウェルネス系のブランドを立ち上げる。卒業後は広告業界の事業会社に就職予定。趣味はサウナとお香。
一瀬優菜(立命館大学経営学部4回生)
大学入学後、新興国への教育ボランティア活動を行う。2回生時に、ビジネスによって社会課題を持続的に解決する《ソーシャルビジネス》に出会い、Bean to Barのカカオショップでアルバイト。現在は社会的投資や大学発のソーシャルインパクトファンドに関わるインターンを行う。卒業後はIT企業へ就職予定。趣味は登山。
中尾充希(立命館大学経営学部 2020年度卒業)
幼少期から家族と国内外を旅した経験から観光・インバウンドに興味を抱き、観光と地域活性化の文脈で活動。また、高校時のニュージーランド留学や経営学部での経験から環境問題やサーキュラーエコノミーに興味が深まり、 現在は同分野を事業とする企業でインターンを行う。 来年、主にビジネスにおけるサーキュラーエコノミーを研究するためオランダの大学院に進学予定。 最近の趣味はDIYと山登り。