RSIF社会起業家インタビュー#6:株式会社アドレス・佐別当隆志さん「知識・興味・課題で新たな当たり前を生み出す」

こんにちは、RIMIX事務局です。

RIMIXでは、学校法人立命館の学園ビジョン2030「挑戦をもっと自由に」の具現化の一つとして、新たな事業を通じた社会課題解決の挑戦を支援することを目的に、2020年度に「RSIF(立命館ソーシャルインパクトファンド, Ritsumeikan Social Impact Fund)」を設立しました。
立命館学園の学生・卒業生(校友)や教職員の起業や事業を支援し、社会起業家のエコシステム・プラットフォームを目指します。

「RSIF社会起業家インタビュー」では、RSIFの投資先である企業で活躍する社会起業家にインタビューを行います。
第6回となる今回は、日本各地223(2022年2月4日現在)の住居を会員同士でシェアをする多拠点生活サービス「ADDress」を運営する、株式会社アドレスの代表取締役を務める佐別当隆志さん(立命館大学国際関係学部卒)にインタビューしました。全国創生を目標とし、空き家を含む遊休不動産をシェアハウスとして蘇らせて地域での新たなコミュニティを創出。2018年に株式会社アドレスを設立した佐別当さんに、アドレスの事業を通して目指す未来について話を聞きました。

ADDressとは

定額制で全国の家に住める多拠点コリビング(co-living)サービス「ADDress」は、多拠点居住を通じ、全国活性化および日本中のコミュニティに新たな関係をつくるライフプラットフォームを提供しています。

「全国創生」を掲げ、遊休不動産を蘇らせたシェアハウス型拠点や宿泊施設連携拠点を展開し、都市と地方が協力しながら地方への「帰属」そして生活の「回遊」を促進することで、日本全国にコミュニティを築いていく、全国各地の関係人口を加速させ次世代の地方創生事業として注目されています。

また、家守(ADDressの家での生活をサポートするコミュニティマネージャー)をハブとした会員同士や地域住民との交流機会も魅力の一つで、会員はさまざまな地域で、新たなコミュニティに出会うことができます。少子高齢化の人口減少社会において、移住ではなく都心部と地方が人口をシェアリングする多拠点居住のサービスを目指しています。

起業が身近に

起業を目指していたわけではなかった佐別当さん。始まりは大学4回生の頃まで遡ります。広告代理店など世の中にインパクトを与えられるような仕事をしたいと思いながらも、就職氷河期の中で納得できる就職先は見つからなかったと言います。佐別当さんが持った思いは「このまま進んでいくのは何か違う」。単位を残して大学生を1年間延長するという決断をしました。その大学5回生の時に出会った会社が株式会社ガイアックスでした。

就職支援会社からの紹介で始めたインターンシップ。当時はまだ、インターンシップを行っている会社は多くなかったそう。今後5年、10年で大きな伸び代が見えるIT業界では自分の目標である「インパクトを与えられる人」に近づくのではないかと感じたと言います。インターンシップでの成果もあってか、大学に通いながらガイアックスで正式に働くことになりました。

新規事業創出の支援やソーシャルメディア、ゲームの運営を行なっているガイアックスでは、周りを見渡すとベンチャー起業だらけで“起業が当たり前”の世界。その中で自身も、人生の中でいつか「起業」が一つの選択肢になるだろうと思っていたと話します。また、同時に起業へのハードルも下がっていったといいます。

ガイアックスで働き出してからも、インターンシップ紹介会社から「社会起業家育成セミナー」の案内をもらったこともあり、だんだんと「社会起業家」というワードにも気にするようになったといいます。そして、インターネットを活用した社会起業家という選択を考え始めました。

アドレスの原点

起業の勉強もしながら働いていたガイアックス時代、同期が大型シェアハウスでの生活を始めたことがきっかけで、「自分もしてみたい」と思ったという佐別当さんは、2010年にソーシャルアパートメントでの生活を始めました。シェアリングを初めて肌で感じる経験となり、シェアリングエコノミーの世界観に面白さを感じていきました。また、当時海外ではAirbnbやUberなどのシェアリングが盛んになっており、この波は日本にもやってくるだろうと考えていました。

結婚し、子供ができたタイミングで自身の家でもシェアハウスを始めました。民泊をしながらのシェアハウスの運営であったため、たくさんの海外からのゲストとシェアハウス住民が一緒に共同生活している状況が、また佐別当さんのシェアリングエコノミーへの興味を掻き立てました。また、ガイアックスでシェアリングのイベントを企画するなど積極的な発信を行なっていると、シェアリングに関する業界団体を作らないかという話が来たと言います。佐別当さんは構想から参画し、2015年秋に一般社団法人日本シェアリングエコノミー協会を立ち上げました。ガイアックスで培ってきたITに関する知識とシェアリングを掛け合わせた業界団体をつくっていくのは、一種の起業の形ではないかと佐別当さんは思い返します。

ガイアックスでの働きに加えて業界の活動を行い、地域との関わりが増えていくと、地域が抱える問題を等身大で感じることが多くなってきたと言います。ちょうどそのころ、あるIT企業へ空き家を活用した関係人口モデルの提案やそれに関するイベントを行なっていました。それが現在展開しているサービス「ADDress」の原点だったのです。様々な問題で提案先での事業化が難しくなってしまった時、やる人がいないなら自分でやるしかないと佐別当さんは決意しました。そのIT企業の担当者であった桜井さん(現株式会社アドレス取締役)とともに、2018年11月に株式会社アドレスを創業しました。空き家に対して関係人口を巻き込みながら活性化していくことは今の日本には必要との思いのもと事業内容に注力し、起業は単なる手段であったからこそ、決意から起業までは1ヶ月ほどだったそうです。

20代のころから一つの手段として意識し、ガイアックスでの複数の事業開発経験から自信もあった起業。業界団体が自分にとっての起業になりこのまま続けていきたいと思っていたそうですが、今から振り返ればそれは最終ゴールではなく、これからも走り続ける手段として株式会社アドレス設立が佐別当さんには必要でした。

佐別当氏が目指す未来

現状として「多拠点生活をしている人は、変わった人たちと思われているかもしれない」と佐別当さんは言います。「まずはそこを誰もが選択できるレベルにまでに一般化し、働く、学ぶ、遊ぶ人が地方へ行き来することで、地域に人金モノが流れ、地域の課題を解決していく状況を作りたい。そんな人が100万人になれば、日本中のあらゆるシステムが多拠点生活を考慮したものに変わり、多拠点生活がどんどんしやすくなる。同時に地域の課題を目の当たりにし、社会に対する高い意識を持った人が増えていく。それが社会に影響を与える100万人、地球を変える100万人になるかもしれない。そんな未来が来たら、100万人の誰かが革命を起こし、時代にあった地球の在り方を生み出してくれるのではないか」。こう佐別当さんは考えます。

学生に向けてのメッセージ

最後に、学生へのメッセージをいただきました。

「大学生時代、たいした勉強はしていなかったですが、模擬国連や海外セミナー、海外の社会文化やジェンダー、マイノリティーに関して学べる授業などで、とても見識が広がりました。働く価値観を変えさせられるようなこともあり、大学生の経験は人生を変えると思っています。コロナ禍という厳しい環境かもしれませんが、そんな時こそしっかり勉強してチャレンジできる機会を増やしておく、そして自信のキャリアに影響を与えるほどの経験にトライしてもらえたらと思います」

「また、起業はたいしたことないと思ってください。みなさんの周りにたくさんあるお店も小さな起業です。起業は「すごい」「難しい」とリスクやハードルを勝手に設ける必要はなく、あくまでも手段として何をしていきたいのかを考えればいいと思います。学生時代に取り組むテーマが見つかる方が珍しいです。しかし、ネットワークやスキル、経験はいつでも積めます。もちろん一度起業してみるのも大きな経験になります。自分の将来に対するチャレンジをぜひ続けてください」


PROFILE

佐別当 隆志

立命館大学国際関係学部卒業。2000年ガイアックスに入社。広報・事業開発を経て、2016年シェアリングエコノミー協会設立。内閣官房、総務省、経産省のシェアリングエコノミーに関する委員を務める。2018年より、定額で全国住み放題多拠点コリビングサービス「ADDress」を運営する株式会社アドレス代表取締役社長。

株式会社アドレス https://address.love/

定額制で全国の家(登録拠点)に住める多拠点コリビング(co-living)サービス「ADDress」。空き家をはじめとした日本各地の遊休物件を活用し、地方に移住したい人にお貸しすることで空き家問題を解決すると同時に多拠点居住という新しいライフスタイルを提案し、豊かな社会を実現したいと考えています。

INTERVIEW

北元 柊人(立命館大学政策科学部3年)

大学入学後、カンボジアへの教育ボランティア活動を行う。2年次からはSDGsに関する団体に所属し、大学とともにイベントの企画やサポートを行うようになった。3年次からは全国住み放題サービスを展開する株式会社アドレスでインターンを開始する。今回は立命館大学生でもあり、アドレススタッフでもある北元がアドレス代表佐別当氏へのインタビューを行う。

一瀬優菜(立命館大学経営学部4回生)

大学入学後、新興国への教育ボランティア活動を行う。2回生時に、ビジネスによって社会課題を持続的に解決する《ソーシャルビジネス》に出会い、Bean to Barのカカオショップでアルバイト。現在は社会的投資や大学発のソーシャルインパクトファンドに関わるインターンを行う。卒業後はIT企業へ就職予定。趣味は登山。

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