こんにちは、RIMIX事務局です。
RIMIXでは、学校法人立命館の学園ビジョン2030「挑戦をもっと自由に」の具現化の一つとして、新たな事業を通じた社会課題解決の挑戦を支援することを目的に、2020年度に「RSIF(立命館ソーシャルインパクトファンド, Ritsumeikan Social Impact Fund)」を設立しました。
立命館学園の学生・卒業生(校友)や教職員の起業や事業を支援し、社会起業家のエコシステム・プラットフォームを目指します。
「RSIF社会起業家インタビュー」では、RSIFの投資先である企業で活躍する社会起業家にインタビューを行います。
第5回となる今回は、運動と食事が同時に楽しめる施設「SG-Park」。「SG-Park」を運営する株式会社Seventh Generations Project(SGP)代表取締役の牧貴士さん(立命館大学卒)は、幼少期の自身の経験から、「世の中の人々が行いたいことにチャレンジできる世界」の実現を目指し、スポーツを入り口とした地域づくりに取り組まれています。
起業のきっかけ
「持った夢に対してチャレンジできるのを、当たり前の世の中にしたい。世界中の人々が行いたいことにチャレンジできる世界を作る。」
この思いが牧さんの起業をした理由です。
本事業を始める前は、行政のお仕事をなさっていましたが、地域の方との交流機会の提供や様々な取り組みを行うも、参加者に偏りが生じていたそうです。また、起業支援なども行うも途中で諦める方が多かったと言います。そのため、自身で事業を作り、「子どものやりたいことを伸ばす環境を実現する方が良いのでは」と考えられました。
また学生時代にバスケットボールを行っていた牧さん。オリンピックやサッカーのワールドカップのようにそのスポーツに関心がなくても、皆が1つになって観戦し、感動できる。「スポーツには人の感情を動かす力がある」と言います。そのため、スポーツを入り口にすることで、地域の人をより多く巻き込めるのではないか考え、本事業をスタートさせたそうです。
幅広い世代の人が集まる場所、SG-Park
滋賀県大津市にある「SG-Park」は、日本初のバスケットコート併設型レストランとしてオープンしました。ここでは、バスケットボール・ダンス・体操等のスポーツスクールを運営されています。
「子ども向けのサービスを行うことで、送迎に来られる親御さんとも世間話をしたり、アドバイスをもらえたり、今まで出会えなかった人たちと出会うことができ、地域の人と繋がるきっかけになっている」と牧さん。
この流れを加速させるため、今後は大人向けのスポーツクラブのようなサービスを展開する予定だそうです。親御さんとの交流や様々なリサーチの中で、運動したいが運動ができる場所がない、継続する自信がないという現状を知ったと言います。そのため、既存のフィットネスジムと価格や人との交流機会などで差別化をはかり、運動機会の創出につなげていきたいと考えておられます。運動機会の創出による社会保障費の抑制、健康寿命の延伸やSG-Parkを通して繋がった人たちでコミュニティを生み、新たなアクションへとつなげていていきたいと牧さんは言います。
「社長になる」という夢へ向けての原動力
牧さんは、幼少期の時に抱いた「社長になる」という夢を実現しておられます。長い間、その夢を持ち続けることができた原動力について尋ねてみました。
幼少期に、ご両親から愛されていないと感じ、ご両親のことが嫌いになったという牧さん。また、もともと内気な性格ということもあり、休み時間は1人で基本、読書をされていた学生生活を過ごしていたそうで、周りから声をかけられることが少なかったそうです。そこで、サラリーマンだった父親や声をかけてくれなかった人を「見返してやる」という気持ちで社長になることを志したと言います。当時は世の中のことを蔑んで見ていたそうです。
しかし、いざ働いてみると働くことの大変さ、お父様のすごさに気づかれたそうで、今はご両親のことが大好きで、世の中に対するも見方も変わったそうです。
「僕みたいに世の中を蔑んで見ていた人間が今は純粋に夢を持って頑張れている。こんな苦労は他の方には必要ないと思う。ただ、行いたいことにチャレンジできて、うまく行ったらそのまま行えば良いし、失敗してもそれを活かして次のことにチャレンジすればいいとも思う。」と言います。これが現在の事業に繋がっています。
夢への思いを強く持てる理由
インタビューを通して、牧さんの夢への強い思いがひしひしと伝わってきました。そこでその思いに至るエピソードについて尋ねてみました。
毎週末、家族で競馬を見にいき、買い物をして、お昼ご飯を食べるのが幼少期の日常だったそうです。しかしお母親はいつも楽しくなさそう、寂しそうな思いをされていたそうです。そこで、「競馬を家族が楽しめるレジャー施設にしたい」という思いで当初は起業を志されていました。このように、「自分の大切な人が少しでも笑っていてほしい、世の中の人が希望を持って楽しく生きてほしい。人の笑顔を見ていたい」と牧さん。自分の家庭内での経験がベースにあると分かっているので、夢が変わることはないと確信を持っている」と力強く語られていました。
SGPが目指す世界
強い夢を抱く牧さんは、SGPとして目指す世界について尋ねてみました。「200年先の人が暮らしやすい地域や国と思ってもらえればいいと思います」と牧さんは言います。「Sevens Generations」というのが、ネイティブアメリカンのイロコイ族の教えとして、「7世代前の人たちのおかげで今があるのだから、自分たちも7世代後の人のことを考えて意思決定していきましょう」という意味だそうです。7世代というのがちょうど200年くらい。小学生の時に弟さんを亡くされた経験を持つ牧さん。小学生の時に、弟さんの分まで生きたいと考えるようになったそうです。「200歳まで生きることは現実的に不可能で、肉体は滅びていくけども、思いだけは受け継ぐことができると思います。」と牧さん。「地域の人が暮らしやすい街を次世代にどのように残すかを少しでも多くの人が考えなければならない。そのために、時間がかかっても良いから自分が死ぬまでにこの思いの受け継いでくれる人が現れれば、僕の人生は成功かなと思います」と言います。そのために、牧さんは今、自身にできることを着実に取り組んでいこうと考えられています。
学生へのメッセージ
「学生時代学んだことはあまりないです。ただ、バスケ部で出会った同期は唯一友達だから、彼らと出会っていることは1つの財産だと思います。」
こうおっしゃる牧さんらしいメッセージをいただけました。
「楽しむこと、友達を大切にすることですかね。楽しく生きることが一番大切なので、楽しいことを行っていれば、辛いことが起きても頑張れると思いますし、それが自分の人生をかけて叶えたい夢なのであれば、尚更負けてはいられないと思って、僕は頑張れると思います。尚且つ、大学時代に出会った仲間は結構続くと思うので、出会った人たちを大切にして、凄く仲良い人とは、日程も決めて年に1回は会うことが大切だと思います。これが出来ればきっと楽しい人生になるはずです。」
最後にもう一度、牧さんの夢をお伺いしました。
「世界中の人たちがやりたいことにチャレンジできる世の中を作る。」
牧さんは、この夢に向けて、自身ができることを一歩一歩着実に取り組まれていきます。
PROFILE
牧貴士さん
1981年、大分県生まれ、滋賀県大津市育ち。2004年、立命館大学経営学部卒業。 大阪、東京で営業代理店を経て、2005年、catchtheclimaxを創業。Webサービス制作や新規事業開発、起業支援を行う。2011年、滋賀にUターン。リサーチ、企画、コンセプト設計を主とした高縞企画を設立。2018年12月、都市型スポーツチームの運営、スポーツスクールの企画・運営などを行う、株式会社SeventhGenerationProjectを設立し代表取締役CEOを務める。
株式会社Seventh Generations Project https://seventhgeneration.co.jp/
株式会社Seventh Generations Projectは、スポーツを入り口に地域づくりに貢献することを目指し、設立した会社です。2021年からは、「立命館ソーシャルインパクト投資事業有限責任組合」も株主として参画しています。現在は、商業施設の中で運動・食事が楽しめる施設「SG-Park」を運営し、子どもを対象としたスポーツ教室を展開しています。今後は2021年11月頃開始した大人向けのサービスも発展させ、運動機会提供による健康寿命の延伸をはじめ、幅広い世代が集まるコミュニティとして、地域づくりに貢献して参ります。
INTERVIEW
川村幸生(立命館大学 薬学部5年)
幼少期のスリランカ訪問の経験から新興国支援に関心を抱き、大学入学後、同地域への教育支援活動を行う。コロナウイルスを契機に《予防医療》に興味を持ち、ヘルスケアの重要性を広めることを目指す。現在は、「食事療法による疾病の悪性化予防」についての研究活動を中心に、「ヘルスケア」「途上国」「ソーシャルビジネス」をテーマに活動中。趣味はスポーツ観戦と山登り。
一瀬優菜(立命館大学経営学部4回生)
大学入学後、新興国への教育ボランティア活動を行う。2回生時に、ビジネスによって社会課題を持続的に解決する《ソーシャルビジネス》に出会い、Bean to Barのカカオショップでアルバイト。現在は社会的投資や大学発のソーシャルインパクトファンドに関わるインターンを行う。卒業後はIT企業へ就職予定。趣味は登山。