立命館社会起業家支援プラットフォームRIMIXが2020年4月16日に立ち上げた、オンラインコミュニティ「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」。これまでに99のプロジェクトが立ち上がり、学生や事務局による90の記事を発信。約12万以上のアクセスを頂き、コロナ禍の学生コミュニティとして大きく成長しました。
立ち上げ1年を記念し、プロジェクトオーナーとしてプロジェクトを立ち上げた学生・生徒たちのその後を追った連載記事をお届けしています。
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RIMIX事務局です。今回は、Beyond COVID-19で「リプラン会2020」をプロジェクトオーナーとして開催した、立命館大学経営学部4回生の一瀬優菜さんのその後を追いました。
「リプラン会」では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、準備していた留学が中止になり、就職活動に突然切り替えるなどの変更を余儀なくされてしまった学生が集まり、コロナ禍でできることを考え、改めてプランを練り直す機会をオンラインで実施しました。
これらの取り組みは、朝日新聞をはじめ数社から取材を受けるなど、困った大学生が自分たちで社会を切り拓く事例としても取り上げられました。(朝日新聞の記事)
また、活動をみた立命館の附属校の生徒からコンタクトがあり、高校生版リプラン会を実施したいとのことで、広がりを見せた取り組みでもありました。
ここからは、一瀬さんからのレポートをお届けします。
Beyond COVID-19での活動
私は、イギリスでエシカルやサステナビリティについて学びたいと考え、2020年夏からの留学を予定していました。しかし、新型コロナウイルス感染症による影響で、実際は留学には行けませんでした。ですが、私の関心分野を知る友人が、岡山県西粟倉村でのフィールドワークに誘ってくれて、日本が本来持つサステナビリティを体感し学ぶという経験を得ることができました。また、ゼミでも社会問題に取り組む企業行動として、ソーシャル・アクティビズムをテーマに、卒業論文を書くことができました。
現在、私は1年間の休学をしています。4年間の大学生活では、自分の興味・関心を深め切るには少し短かいと感じ、休学を決意しました。実際、新型コロナウイルスという社会変化によって、留学による学術的な学びを深めることは難しくなりましたが、もともと関心があった「教育」という分野には携わることができました。これは今年だったからこそ、関わることができたのだと思います。
また、同時に行っていた就職活動は、学生生活を一旦区切るような役割を果たすと感じました。そのため、就職活動が始まる前までに、自分は何ができるか、何に関心があるか、おぼろげながらでも見ようとする努力はとても大事だと思いました。
私が所属するゼミの先生から共有していただき、私自身とても大切にしている「心の投資」に関する考え方があります。それは「重要と緊急のマトリックス」というものです。学生は、締め切りがあるような緊急性があり、且つ重要なもの、または重要でなくても緊急性が高いものには、盲目的に時間を使いがちです。ですが、締め切りがなく緊急性が低いけれども、自分にとっては重要なものこそに価値があり、意識的に心を投資しようというものです。解釈は多くあると思いますが、緊急性は低いけれども、自分にとって重要度が高いものにも、積極的にチャレンジし、時間や心を投資していこうと考えています。
Beyond COVID-19のプロジェクトへの参加で感じたこと
Beyond COVID-19のプロジェクトに参加して、またプロジェクトを実施して気になった点は、プロジェクトに参加した学生が現在、どのようなことをしているのかということです。これからもRIMIXを通じて、継続的な関わりがあると嬉しいです。
RIMIXの活動に大変お世話になって、素敵な機会を沢山もらっています。ですが、オンラインとオフライン双方に合ったコミュニティ作りも必要だと思いました。
最近、コロナ禍もあいまってか、私自身、1,2回生の頃のように、学内プログラムに対してアンテナを強く張らなくなってきたと感じています。それは良くも悪くも私自身が、自分の関心分野がクリアになり、よりテーマを深掘りする方向に走るようになったからかもしれません。私が大学1,2回生の頃は、学内掲示板の募集を毎日チェックしたり、学内のオフィスにあるチラシを毎週チェックしたりと、常にアンテナを張り続けていました。自身が惹かれるものを見つけるためにも学内外のイベントなどに積極的に参加してみると良いと思います。
私にとって、新型コロナウイルス感染拡大による社会変化は、良い影響も少なからずあったと思っています。これまでの私は、様々なイベントへのお誘いを受け、それらに全て参加するような「イエスマン気質」なところがありました。ですが、新型コロナウイルス感染拡大によって、大人数での飲み会やネットワーキングなどがなくなり、新型コロナウイルス感染に気をつけながらも、気の合う友人と少人数で楽しみながら語り合う機会が増えました。私には後者が圧倒的に合っており、有意義な時間を過ごす機会が多くなりました。
一方で、これまで出会った人や知っている人以上の交友関係が広がらないなどの問題もあります。ぜひ今後のRIMIXの取り組みとしても期待しているところです。
Beyond COVID-19の取り組みで出会った学生と、その後の何らかの活動で実際に出会うことがあり、初めて会ったのに親近感が沸くという不思議な感覚に沢山出会いました。また、お節介ではなく、積極的に人を紹介をしてくれるようなネットワーカーの存在がとても重要だと思いました。
Beyond COVID-19プロジェクトを振り返り感じること
社会人になる同級生を見送る中で、社会人になることは終わりのない留学にいくことではないかと感じました。留学であれば、期間や場所、起こりうるであろうイベントはおおよそイメージがつきます。しかし社会人では、それらが決まっていない状態も多く、自分自身で目標設定や意思決定を行わないと、人生において時すでに遅しという状態になってしまうかもしれないと感じました。
またRIMIXなどの活動機会が増えてきたことで、プラットフォームへ所属するという依存が進んできたのかなとも思います。RIMIXに所属していれば、自然と魅力的なプログラムに参加することができ、経験することができます。ですが、それらは本当に自分の意志なのか、自分の意図とする経験なのかは分かりません。所属することで自分の価値を表現するのではなく、「私とは…」と、自分で自分の価値を見出したり、語れたりしていかないと、ふと気づいた時には、時すでに遅しという状態になってしまうかもしれないと感じました。
最後に、Beyond COVID-19の取り組みを経験して、後輩に少しばかり伝えたいことが2つあります。
1つは、主体性です。立命館大学には様々なプログラムや授業があります。その際、「このプログラムは何をさせてくれるだろうか」や、「この授業は何を勉強させてくれるだろうか」というお客様目線で取り組まないで欲しいということです。全ては「主体性」です。受け身での参加で、得るものは少ないと思います。
2つ目は、手段と目的を履き違えないことです。例えば、プログラムへの参加や組織への所属などの手段で、満足してしまうような「スタンプラリー型の経験」には気をつけて欲しいということです。多くの魅力的なプログラムや組織があると思いますが、時折自分自身を客観的に見て、今何ができていているのか、何ができていないのか、これは自分の意思なのかを、よく考えて欲しいなと思います。そして自分は何に心の投資をするべきなのかを見つめて欲しいです。