立命館起業・事業化推進室です。
昨年12月に開催した「IMPACT MAKERS DAY 2022」にて、Zone 2の「高校生Impact Makersピッチ」に登壇した菅原龍佑さん(立命館大学経営学部1回生、当時立命館宇治高校3年)が代表を務めるチーム「WITH US コネクト」の活動が、本学の校友向けWEBマガジン「立命館CLUB」の第210回 輝く学生インタビューに掲載されました。
以下、インタビュー記事を転載いたします。
第210回 輝く学生インタビュー
代替肉を身近に感じてもらえるための架け橋に
―WITH US コネクト 菅原龍佑さん
このコーナーでは、立命館でいまを精一杯頑張り、輝いている学生や団体を紹介します。今回ご紹介するのは、WITH US コネクトの菅原龍佑さん(経営学部1回生・京都府出身)です。菅原さんは、代替肉メーカーと事業者をつなぐビジネスマッチングやイベント開催・出店をおこなうWITH US コネクトの代表を務めています。活動のきっかけや、今後取り組みたいことなどをお伺いしました。
Q.WITH US コネクトの事業について教えてください。
代替肉のビジネスマッチングやイベント開催・出店、講演などをおこなっています。代替肉のビジネスマッチングでは、代替肉を作られているメーカーさんと、飲食店などを繋ぐために試食会を実施したり、飲食店への営業活動をしたりしています。
イベント開催・出店の直近の活動としては、5月1日(月)~7日(日)に京都の岡﨑公園で開催された「京都餃子大作戦」に出店させていただき、代替肉を用いた餃子「EARTH餃子」を販売しました。
Q.代替肉について教えてください。
代替肉には、大豆などの植物性タンパク質を原料とするものと、動物の細胞を培養して作られる培養肉の2種類が大きく分けて存在します。現在、日本を含め世界で広がり始めているのは、前者の植物性タンパク質を原料とするもので、私たちも大豆を原料とする代替肉を取り扱っています。
一口に代替肉と言っても、メーカーさん毎で製法が違っているため、大豆の風味の強さ弱さが異なったり、サイズ感が違っていたりと、同じものはあまりありません。また、近年の研究開発で、見た目、味、食感、肉汁まで再現されるようになり、代替肉は飛躍的に美味しくなってきています。大豆の風味を消し、極限まで肉に近づける技術が発展してきているため、言われなければわからないほどのクオリティまで進化しています。中には、「大豆ミート」と呼ばれるような大豆の風味が残っている商品もありますが、私たちは、限りなくそれらの風味が取り除かれた代替肉を厳選して集めています。本当に美味しいので、ぜひ一度食べていただきたいです。
Q.代替肉をビジネスにしようと思ったきっかけは何ですか?
世界のCO2排出量シェアのうち、約15%が畜産業とされています。また、世界で生産される穀物の多くが家畜の餌として使われています。そこで、普段の食事でお肉を食べる際の選択肢の1つとして代替肉が挙げられるようになれば、CO2の排出量が減り、穀物も食糧に困っている方々に届くようになり、地球や毎日の生活を守ることができると考えています。更に、大豆ミートは高タンパクかつ低カロリーで、健康にもよいと言われています。これらを知ったのが高校生の時で、ビジネスまでは考えておらず、慈善活動の一環として始めました。しかし、いくら環境に優しくても、実際にビジネスとして継続できなければそれは真に持続可能とは言えないことに気がつきました。ビジネスマッチングとして事業化することで、代替肉が一世のブームで終わるのではなく新たな食の選択肢として受け入れられるようにしたいです。
Q.WITH US コネクトの強みは何ですか?
一番は若さです。メンバー全員が活力に溢れていて、また何事にも臆せず挑戦したいという意気込みで事業を進めています。ゴールデンウィークに実施した「京都餃子大作戦」では2週間で2万個の餃子を作りました。この時のように、事業へがむしゃらに打ち込むことができることは強みだと感じています。
合わせて、自分たちの事業は現場に近いことも強みだと感じています。以前に試食会を実施した際には、参加された方へアンケートへの回答をお願いし、実際に消費する側の方々がどのような感想を抱いているかを聞き、メーカーさんへ伝えることができました。また飲食店の方々に対しても、複数のメーカーの代替肉を知っているため、それぞれのお店にあった代替肉メーカーを提案することができます。複数のメーカーと同時に繋がっていますが、独立した第三者組織なので、忖度なしに、本当に美味しい代替肉を紹介することができます。
メンバーがリサーチをしてくれたところ、現在、全国で約70社が本気で代替肉を作られています。それぞれの会社に連絡を取り、作られている代替肉をマッピングして、飲食店が取り扱うそれぞれの料理毎の相性などをみながら、より良い代替肉マッチングの機会を増やしていきたいと考えています。
Q.事業を通して、つらかったことや、気づいたことはあります?
飲食店のオーナーさんは大変忙しいため、営業活動をした際にも、話を聞いていただけないことも何度もあり、難しさを感じました。試食会の実施を決め京都府内の約50店舗に電話をかけたところ、説明を聞いてくださりご参加いただけたのは15店舗でした。
しかし、この経験を通して、話を聞く時間もないほど飲食店さんが忙しいことを改めて知るとともに、そのような大変忙しい飲食店に対して、取る必要のあるアプローチを考えるきっかけになりました。
他にもこれまで何度も心が折れそうになったことはありますが、そのたびに事業を一緒に進めているメンバーに助けられています。今一緒に事業を進めているメンバーは、営業や会計、リサーチなど、自身の得意な分野を見出しながら、お互い助け合い、事業を進めています。
Q.今後取り組みたいことや、将来の目標はありますか?
大きな目標としては、代替肉を身近に感じていただけるような活動をしたいと考えています。まずは、京阪神地区の飲食店100店に、代替肉を使ったメニューを取り入れていただくことを目標としています。キッチンカーのような形で簡単に代替肉を使ったメニューに触れていただける機会も作りたいと考えています。きっかけ作りの一環としては、11月頃にイベントを企画したいと考えているので、是非ホームページやSNSからご確認いただき、ご参加をお願いできれば嬉しいです。
HPはコチラ≫https://with-us-1.jimdosite.com/
代替肉が一般的なものになれば、生産のコストも下がり、安価かつ健康的で、更に地球も守れる、悪いところがない食材になると確信しています。そのために、事業が進んだ先では、スーパーのお肉コーナーに代替肉のコーナーを作ったり、お惣菜コーナーに代替肉を使った商品が一般的に並べられることを目指しています。ヴィーガンの方やアスリートの方々には、代替肉は馴染みのあるもので、受け入れていただきやすいのですが、これからの活動としてはそれ以外の方々にも代替肉は美味しいということを知ってもらい、更に広げていきたいと思います。
取材では、強みとされている”若さ”を終始感じました。また「毎日やりたいことが頭に浮かんでくる」という菅原さんの言葉からは、事業を楽しみながら取り組んでいる様子を感じるとともに、今後の更なる発展が容易に想像できました。是非、WITH US コネクトが厳選した代替肉を食べてみたいと思います!