COMMUNITY CAMPUS +R 受講生のその後 #4|kotosakA 三浦佑介さん

舞台演出のスキルを、ビジネスピッチの「演出」へ

米国・バブソン大学の革新的な起業家教育メソッドを取り入れたVenture Café Tokyoの起業家教育プログラム『COMMUNITY CAMPUS(※)』。2024年4月4日に第1期が開催され、11月14日には第4期が開講されました。今回は第3期に参加した三浦佑介さんにお話を伺いました。

自己紹介と、いま取り組まれている事業について教えてください。

舞台演出家として20年以上活動してきました。現在は、その経験やスキルを活かしてビジネスピッチのトレーニングを行う、いわば「ビジネスピッチの演出家」として、kotosakAという会社を運営しています。

大学時代は、日本を代表する演出家・蜷川幸雄氏のもとで4年間みっちり学びました。俳優の力を引き出すことにも長けた方で、蜷川作品への出演をきっかけに、大きく成長していく俳優も数多くいました。大学卒業後は、俳優として活動しながら、演出家としてもキャリアを重ねてきました。ところが、コロナをきっかけに舞台がすべてなくなってしまったんです。そんな時、たまたまYouTubeで「IVS LAUNCHPAD」を目にする機会がありました。私はずっと演劇の世界にいたので、それまでスタートアップの世界をほとんど知らなかったのですが、「日本に、こんなに新しいことに挑戦している人たちがいるのか」とワクワクして、最後まで見入ってしまいました。一方で、演出家として見ていると、これだけ面白い事業や魅力的なキャラクターを持っているのに、伝え方がどこか型にはまっていて、もったいないとも感じたんです。

どれだけ魅力のある事業でも、それだけで相手に伝わるわけではありません。その面白さをどう表現し、どう演出して、聞き手の心が動くところまで届けるか。そこに、自分が演劇で培ってきたものを活かせる「事業の種」があると思いました。

kotosakAでは、どのようなことをされているのでしょうか。

始まりは、いろんな起業家さんに会うことから始めました。

東京だけでなく、地方にも熱い起業家がいるはずだと思い、大阪、京都、名古屋、福岡、沖縄と、各地のインキュベーション施設に飛び込んで、様々な起業家さんに会い、話を聞き、そして、トレーニングを試してもらいました。その中で、ある企業のトレーニングを担当し、ピッチを通じて1億円規模のディール獲得につながったことがありました。プレゼン自体の評判も良く「伝え方一つで起業家さんの世界が変わるなら、お手伝いしたい!」と、kotosakAを立ち上げたんです。

kotosakAの特徴は、画一的な「how to」を教えるのではなく、その人に合った伝え方を一緒につくっていくことです。

たとえば「声が小さい」というのは、一般的には直すべき弱点とされがちですが、その特性を磨いていくと、逆に人が耳をそばだてて聞いてくれたり、丁寧な印象を与えられたりします。弱点を武器に変えて、その人が自分の言葉に体重を乗せて話せるようにする。これは、お芝居においても必要なことなんです。ビジネスピッチは、事業の内容を伝えるだけではなく、聞いた人の心を動かし、その先の行動につながってこそのもの。相手を動かす伝え方をつくるのが、kotosakAのやり方です。

「勘」で決めた応募。0から1を作る場に惹かれて

どのような経緯でCOMMUNITY CAMPUSを受講されたのでしょうか?

以前、蛇澤純子さんと小さなお仕事をご一緒したことがあり、Facebookでつながっていたんです。その蛇澤さんの投稿でCOMMUNITY CAMPUSのことを知りました。

ちょうど事業をどう進めていこうかと模索していた時期で、事業づくりについて学べる場所があるなら、ぜひ行きたいと思って応募しました。蛇澤さんのように表現者として活動している方も学べる場だというのも、いいなと思ったんです。当時は会社を登記したばかりで、名刺を配り始めたくらいのフェーズでした。まだ始めたばかりだったこともあって、新しいことに飛び込むことへの抵抗はありませんでした。正直に言うと、決め手は「勘」ですね(笑)。私はうさん臭さには敏感なタイプなのですが、COMMUNITY CAMPUSにはそういう印象がなく、クリエイティブで良さそうな場所だと直感して、「よし、応募しよう!」と思いました。

演劇と起業は似ている。仲間と出会えた大学のような場

受講して良かったこと、印象に残ったことを教えてください。

本当にたくさんあります。まず、「チャレンジしなければ始まらない」というコンセプトが、自分にとても合っていました。

演劇の世界では、私自身が学生に「何でもやらなきゃ始まらない」と教えてきたのですが、ビジネスの世界でも同じなのかと衝撃を受けたんです。0から1を作って世界を巻き込んでいくという意味で、表現者と起業家はすごく似ている。改めて、そこに気づかされました。何より、仲間と出会えたことが大きかったです。

私のグループは3人だったのですが、リーダーに立候補して、「何かをやりたくて、うずうずしていそうだなー」と思う2人の方を選びました。1人は弁護士の方でした。もう1人は友人と新しく会社を立ち上げようとしている方。3人がまったく違うことをやろうとしていました。だからこそ、良い意味で気を使いすぎず、嫌なことは嫌だと言い合える関係で、ご飯を食べながら課題を進めたり、オンラインで会議をしたり、まるでお芝居を作っているようなクリエイティブな感覚でした。

コミュニティキャンパスは、いい意味で、大学のようでもありました。私が通っていたのは演劇大学だったので、演劇をやりたい人が集まることが前提の場所で、ある意味感覚が近い人たちの集まりだったので、ごちゃ混ぜ感は少ない印象でした。しかし、コミュニティキャンパスは、大企業の方や起業家など、まったく違う世界の人たちが「何かをやりたい」という一点で集まって語り合えるこの場は、まさに私がイメージしていた大学の姿に似ていましたね。これは、20年の演劇人生の中でも本当に新鮮な体験でしたね。

大事なのは優勝することではなく、挑戦を止めないこと。それをチーム全員の共通認識として持てたのが、本当に良かったんです。最終的にはチームでの優勝と、私自身もMVPをいただくことができました。賞のためにやっていたわけではないのですが、楽しくワイワイやっていたことが評価につながったのは嬉しかったですね。

ちなみにチーム名は「プルスウルトラ(もっと前へ)」。チームが盛り上がったらと、ロゴとかも作って遊んでいました。

「とにかく手を動かす」が習慣になった

受講の前と後で、ご自身に変化はありましたか?

いい意味で「焦っていける」ようになりました。

元々のんびりした性格なもので、どうしてもマイペースにいってしまう。でも、「とりあえず手を動かしてみよう」と思え、動くようになったことは、大きな変化です。何が起こるか分からなくても、まずIVSに行ってみよう、沖縄のKOZAROCKSというスタートアップのお祭りに行ってみよう、と。

会社に直接関係するか分からないことでも、まずやってみる、という行動が圧倒的に増えました。
たとえば、演劇人と起業家を掛け合わせられないかと思って、毎月マーダーミステリーを開催したりしています。一見つながらないようなことでも、実はそこから事業が生まれることもある。

「Action Trumps Everything(行動はすべてに勝る)」という言葉を、改めて大事だなと感じています。

印象に残っている言葉はありますか?

講師に来てくださった平野さんの言葉が、ずっと心に残っています。傍から見ると、平野さんはずっと成功しているように見えるのですが、「最初の5年くらいは本当にギリギリだった。そこを我慢できるかできないかだよ」とおっしゃっていて。

SNSを見ると、みんな成功しているようにしか見えなくて悶々としてしまう時期があるのですが、そんな時にこの言葉を思い出して、「自分なりに動いていこう」と思うことができました。

もう一つは、山川さんから伺った話です。アメリカの大学には、毎週末に「失敗を語る会」があるそうなんです。失敗はチャレンジしていないと起こらない。だから、失敗を語れるということは、その週にちゃんと挑戦した証明になる。ドヤ顔で失敗を語ると、みんなが盛り上げてくれる、と。それを聞いて、ドヤ顔で失敗を語れるくらい挑戦しなきゃいけないな、と思いました。

演劇の世界でも、30歳くらいになって後輩ができ、「先輩すごいですね」と無条件に言われるようになると、失敗ができなくなって、面白くない役者になっていく人をたくさん見てきました。

だから私は、年に一度はまったく関係ないことに挑戦して恥をかくと決めていて、去年はお笑い芸人としてM-1グランプリにも出場しました。準備もきちんとして、地下ライブなんかもたくさん出てました。結果はボロ負けでしたけどね…。でも、やったことないことをやるのは楽しかったし、色々勉強になることが多かったです。

師匠の「転ばない努力なんかいらない。転んでもいいからさっさと立ち上がって走れ」という言葉にも、通じるものを感じています。起業家も表現者も、できるかできないかではなく、「挑戦したい」という気持ちが何より大事なんだと、改めて思えました。

リスクゼロで挑戦できる場所。応募しない理由がない

COMMUNITY CAMPUSの受講を検討している人にアドバイスをお願いします。

私は、すぐにポチって良いかなと思います。

単純にリスクが少なくて挑戦できる場所って貴重だからです。大概のチャレンジにはリスクが伴う。そういう意味では、参加しない理由がないんじゃないかなとすら思います。COMMUNITY CAMPUSで考えられるリスクといえば、多少の時間の制約と、他に比べればずっと安い受講料くらい。あとは「恥ずかしさ」だと思うのですが、日本人にとっては、これがお金以上のリスクかもしれません。

でも、安心してください、応募して落ちたとしても誰にも知られませんし、中に入って何をしても、社会から非難されることも、命を取られることもないし、みんなチャレンジして恥をかくので、お互い様なので、恥ずかしさも軽減しますね。しかもここは、チャレンジを推奨し、それを受け止めてアドバイスしてくれる先輩や講師がたくさんいて、安心して挑戦し、失敗できる場所です。そんな場所は、なかなか他にありません。

「何かを始めたいけど、やり方が分からない」「今の自分を変えたい」という思いがあるなら、これほどいい場所はないと思います。安心して失敗できる。つまり、安心してチャレンジできる。チャレンジする癖をつけられる。だから、「応募しない理由ってありますか?」と思うんです。

今後の目標や豊富を教えてください。

「ビジネスピッチといえば三浦」と言ってもらえるところまで、しっかりブランディングを確立したいです。

AIでいろいろな答えが出せる時代になったからこそ、自分の言葉に熱量と体重を乗せて話せることが、これまで以上に大事になると思っています。意外とそこに注目している人はまだ少ないので、ここに気づいた人から、ビジネスが一つ抜けていくという感覚があるんです。

具体的な目標としては、これまで培ってきたビジネスピッチの考え方をまとめた本を、出版社から出せるようになりたい。去年から掲げている目標で、2027年から2028年頃には実現したいと思っています。

ビジネスピッチについての本を今出したら、最高のものができると思うので、出版社の方、いつでもお声がけをお待ちしております!

kotosakA 三浦さんのPROFILE

桐朋学園芸術短期大学卒業。
大学時代に蜷川幸雄氏のもとで演劇を学び、舞台演出家として20年以上活動。
舞台演出で培った知見をビジネスに応用し、現在は「ピッチ演出家」として、スタートアップを中心にピッチ・プレゼンテーションの支援や企業研修を行う。論理・表現・演出を一貫して設計し、相手の理解・共感・行動につながるコミュニケーションを支援している。

▶株式会社kotosakA HP

https://kotosaka.website

▶連載note「ピッチのはなし」

https://note.com/miurayusukeroku/m/m90489cf798c0

▶X

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▶Facebook

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COMMUNITY CAMPUSとは

Community Campusは全ての人に向けた起業家育成プログラム。アントレプレナーシップ教育で30年連続全米№1のバブソン大学の起業家教育方法論を始めとする、世界最先端の教育手法を用いて、グローバルな視野を持ち、不確実性やリソースの制約を克服しながら新しい機会を追求したいと考える、全ての方の起業家精神の育成と事業創出の伴走支援を提供する。
https://venturecafetokyo.org/programs/community-campus

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